重力が小さいということは、高い場所から低い場所への物体の移動力が弱いことを意味します。そのため、火星の山は一度形成されると崩れたり風化したりしにくいのです。
さらに、火星では地球のようにプレートの移動が起こらないため、ホットスポット上に火山がずっと存在し続けることができます。
このため、火山も巨大に成長しやすくなります。火星の地殻が動かないため、火山活動が一定の場所に集中し、複数の噴火が重なって高い山を形成することが可能となっています。
火星の天気
火星の空はたいてい晴れており、その特徴的な赤い色が広がります。地球では晴れた天気の場合、青空が広がりますが、火星では赤みを帯びた空が観察されるのです。
そして時折、激しい砂嵐が発生し、その影響で火星の地表の模様が見えなくなることもあります。これほどの砂嵐では、地球からでも火星の地表が見えなくなることがあります。
そして、興味深いことに、火星の夕焼けは青色です。太陽が火星の地平線に沈むころ、空が青く染まっていきます。昼間は赤い空、夕焼けは青。地球とは真逆です。
なぜ、火星の夕焼けは青いのでしょうか?
まずは、地球で夕焼けが起きる仕組みを考えてみましょう。太陽の光をプリズムを通してみると赤や紫までの多くの色に分かれて見えます。
太陽の光は白色ですが実は多くの色の光が混じっています。地球ではこの光のうち青い光が散乱されます。これは光にはその波長と同じ程度の大きさの粒子に強く散乱される(弾かれる)性質があるためです。地球では大気分子の大きさが青い光の波長と同程度なのです。
昼間は散乱された青い光が空のあらゆる方向からやってくるため空は青く見えます。夕方は太陽の方向からやってくる青い光は散乱されて赤い光だけが残るので夕焼けは赤く見えるのです。
一方火星の空では、地球と状況が異なります。火星の大気は非常に薄いため、地表から巻き上がる砂ぼこり(チリ)によって光が散乱されます。