金星の自転の向きが公転と逆向きなのは周囲のガス分布に密度のゆらぎがあったからかもしれません。

しかし、これは確率としては低いため、最初は他の惑星と同じ向きに回っていたのが何らかの外力によって逆向きになったと考えた方が自然です。

最も可能性の高いのが天体の衝突です。他の天体との衝突によって金星の自転軸が反転したと考えられます。

また、金星は太陽に近いので、太陽からの潮汐力による影響も考えられます。太陽からの潮汐力は惑星の自転を遅くする働きがあります。金星の濃密な大気が潮汐力により変形することでその効果を増幅させます。

惑星の自転速度が速い場合自転軸の向きは安定していますが、自転がゆっくりになると自転軸は不安定になります。金星の自転が遅くなったために自転軸の方向が揺らいで、結果として自転方向が反転してしまったのかもしれません。

金星の美しさの秘密は厚い雲

空を見上げるとひときわ美しく輝く金星は、まさに女神ビーナスの名にふさわしい星です。

この輝きの秘密は金星の雲が太陽からの光をよく反射することにあります。この雲は太陽から受けた光の78%を反射します。金星は地球との距離が近いことも相まって、地球の夜空に輝く天体の中では、太陽と月に次いで3番目に明るい天体です。

大気の成り立ち

金星の大気は非常に厚く、その成分のほとんど(96%)は二酸化炭素が占めています。厚い大気のため、地表面の気圧は92気圧、温度は460℃に及びます。

金星の雲は地球の雲とは全く異なる硫酸でできた雲です。この硫酸の雲は高度45~70kmの範囲に存在しています。雲からは硫酸の雨が降ってきますが、地表がとても熱いので途中で蒸発してしまって地上まで届きません。

現在の金星は高温高圧の世界で、硫酸の雨が降るすさまじい世界ですが、金星の大気にはかつて地球の海に匹敵するほどの水が存在したという説があります

金星に水が存在した具体的な根拠の一つとして、大気中の水素と重水素の存在比が挙げられます。