金星は、古くから宵の明星や明けの明星として親しまれてきました。
その美しい輝きから、古代ローマでは美の女神ヴィーナスにちなんで名付けられました。
金星は地球と大きさや質量が似ているため、地球の双子星とも呼ばれますが、実際には地球とは大きく異なる特徴を持っています。
この記事では、神秘のベールに包まれた金星について、その謎めいた魅力に迫ります。
目次
- 美の女神の名をもつ惑星
- 金星の美しさの秘密は厚い雲
- 金星の素顔は?
美の女神の名をもつ惑星
金星は宵の明星、明けの明星としてよく知られています。
非常に明るく美しく輝く様子からヨーロッパでは美の女神「ビーナス」の名前がつけられました。
また、日本では古来より「万葉集」や「枕草子」などの文学作品において、「ゆうづつ(夕星)」として描かれています。この「ゆうづつ」とは夕方に見える金星「宵の明星」のことです。
日本でも金星はとても美しい星として親しまれてきました。
地球の双子星
金星は地球の1つ内側の軌道を公転していて太陽からの距離も地球に近く、直径は地球の0.95倍、質量は地球の0.8倍と、大きさもかなり地球に近い惑星です。
太陽からの距離や大きさなど、その特性が地球と類似しているため地球の双子星といわれています。しかし、実際には地球とは大きく異なる環境の惑星です。
たとえば、金星表面の温度は約460℃で、太陽により近い水星の表面温度(昼側約430℃)より高くなっています。金星がこれほどまでに高温なのは二酸化炭素による温室効果が働いているためと考えられています。
また、地球の大気は窒素と酸素が主成分ですが、金星の大気は二酸化炭素が96パーセントを占めています。この分厚い大気のため、金星表面での気圧は約90気圧(1気圧は1013hPa)にも達します。これは地球表面での気圧の90倍で、水深900メートルの海中と同じ圧力です。