金星が地球に比べて極端に大気圧が高いのはどうしてでしょうか?

それは、地球には海があるのに対して、金星には水がほとんどないからです。地球の初期の大気も現在の金星と同じぐらいの大量の二酸化炭素をふくんでいたと考えられています。海がある地球では、海水に二酸化炭素が溶けて石灰岩として大気から除去されました。

しかし、金星では太陽に近いため温室効果の影響が大きく水がほとんど蒸発し、大量の二酸化炭素を含んだ大気が残りました。

太陽と惑星の距離が大気の組成に大きく影響しているため、金星が高温高圧の環境であることは太陽からの距離が原因ともいえるでしょう。金星の大気の成り立ちについては後ほど詳しく説明します。

自転と公転の向きが逆

金星の回転軸を表した画像
金星の回転軸を表した画像 / Credit:Jean-Luc Margot/UCLA and NASA

ところで、金星は自転の向きと公転の向きが逆になっています

太陽系の天体の多くは、自転と公転が同じ方向(北から見て反時計回り)です。しかし、金星は非常に遅い速度で逆向きに自転し、1回転するのに地球時間で243日もかかります

したがって、地球では太陽は東から昇って西に沈むのに対して、金星では太陽が西から昇って東に沈み、1日の長さは地球の243日分もあるのです

かなり金星の1日は地球の1日と異なることがわかります。なぜこのようなことになっているのでしょうか?

太陽系形成の過程で惑星の公転と自転の向きはだいたい同じになります。これは全体として同じ方向に回転する原始太陽系円盤の中で微惑星同士が衝突して惑星が形成されるからです。

原始太陽系円盤の密度が均一だとすると、外側からぶつかってくる微惑星の方が、内側からぶつかってくるものよりも多いのです。外側からの衝突は公転と同じ向きの自転を生み出す力となります。そのため、自転はおおむね公転と同じ向きになります。

ただし、原始太陽系円盤の密度にばらつきがあった場合、逆向き自転も起こり得ます。