それにもかかわらず、1975年にマリナー10号の観測で水星の磁場が観測されました。そして地上からの電波エコーの観測によって中心の核が液状であることが確かめられています。

なぜ、水星の核の鉄は完全に固まっていないのでしょうか?

それは、硫黄などの不純物が融点を下げる働きをしているからだと考えられています。それでも大部分は固体の鉄が占めていると推測されるため、冷えやすい水星の薄い外核の層がどのようなメカニズムで磁場を作り出しているのかという点は謎となっています。

これらの謎を解くべく、メッセンジャーによる観測やベピ・コロンボ ミッションが推進されています。

水星に住める?

月への有人着陸を果たした人類は、次は火星を目指しています。いずれは水星にも進出するのでしょうか?

人間は水星に住めるか?

結論から言ってしまうと住めません。

まず大きな難点として水星の気温の問題があります。水星は太陽に最も近い惑星のため、昼間の表面温度は400℃で夜は-200℃になります。人間はここまで大幅な温度変化に耐えられないでしょうし、そもそもこれは人間が生存できる温度の範囲を超えています。

また大気がほとんどないため、太陽からの有害な放射線をブロックすることができません。磁場によって荷電粒子は防げてもX線や紫外線などは遮蔽することができません。

それでも水星に住めるようにするには?

北極の永久影の中に基地を建設して、空気を生成することができればそこに拠点を築くことは可能かもしれません。

水があるので資源として有効に活用できます。飲み水としても使えますし、電気分解して酸素や水素を取り出すこともできます。酸素は生命維持に必要です。水素は燃料として使えるでしょう。

とはいえ生物の生存においては、非常に厳しい環境であることに違いありません。

まとめ

1日の方が1年より長い不思議な惑星「水星」。それはどんな時間感覚なんでしょうか? それは水星に住んでみないと分からないかもしれません。