水星は太陽に最も近い惑星なので、太陽の明るさが邪魔をして水星の姿を直接観測できる機会は地球上ではほとんどありません。

日没後や日の出前のほんのわずかな時間だけ、水星は姿を現します。

そのため、水星の様子は地上からの観測ではなかなか分かりませんでした。水星の素顔が明らかになったのは、1974年にNASAの宇宙探査機マリナー10号が水星の近くを通過したときが初めてなのです。

この記事では、そんな謎の多い水星について解説していきます。

目次

  • 1日の長さが1年より長い
  • 君は水星を見たことがあるか?
  • 水星に水はある?
  • 意外とヘビーメタルな水星
  • 水星に住める?

1日の長さが1年より長い

水星は太陽にもっとも近い惑星で、地球型惑星に分類されます。 しかし、水星の姿かたちは地球よりも地球の衛星である月に似ています。

水星は直径は約4,880kmで地球の5分の2程度しかないかなり小さい惑星です。これは月の直径の3分の4程度となるため、むしろ月と比較した方が大きさは近いと言えます。

水星は地球から見て約88日かけて太陽の周りを1周します。これはつまり水星の1年は88日しかないことを意味します。

そして、水星の1日は地球の約176日(地球日)に相当します。これは水星の1日が、水星の1年間より長いことを意味します。水星では1日が2年間もあるのです。

このような奇妙な状況になるのは、太陽を周回する公転周期と、水星自体の自転周期が非常に近い速度で起きているためです。

地球の場合は公転周期に比べてずっと速い速度で自転していて、太陽を1周する間に、365回自転します。

しかし水星は自転周期が非常に遅く、公転周期よりも長いため1日が2年あるという、地球の私たちから見るとなんとも奇妙な状況になるのです。

水星がこのような状況になってしまうのは、水星が太陽に近いことに原因があります。太陽に近いため公転周期は速くなり、太陽の重力の影響で自転は逆にゆっくりになってしまうのです。