地球から見て内惑星が太陽から最も離れるタイミングを最大離角といいます。水星の場合最大離角のときでも太陽から28°程度しか離れません。そのため、日没直後の西の地平線あたりか、もしくは日の出直前の東の地平線近くにしか見えません。

また、水星は小さな惑星なので輝きが弱く、明け方や夕方の明るい空の中で見つけるのは難しいでしょう。

探査機による観測

地上からの観測が難しいので、惑星科学者は水星の謎の解明のために探査機を水星の近くに送り込んでいます。

実際に、1974年に水星に最接近した探査機マリナー10号によってはじめて水星の素顔が明らかになりました。2011年には探査機メッセンジャーが水星を周回する軌道に乗り、現在も観測を続けています。

メッセンジャー
メッセンジャー / Credit:NASA/Johns Hopkins University Applied Physics Laboratory/Carnegie Institution of Washington

また、欧州宇宙機関(ESA)と日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の共同プロジェクトとして2018年10月に打ち上げられたベピ・コロンボ (BepiColombo) ミッションでは、水星磁気圏探査機「みお」と水星表面探査機MPOの2機の探査機が2025年12月に水星周回軌道へ投入される予定です。

しかしながら、水星は地球から近いにもかかわらず、水星探査ミッションはそこまでに多くありません。実績としてはマリナー10号とメッセンジャーだけなので非常に少ないのです。それは水星が探査機による探査も難しい惑星だからです。

水星に到達するには多くのエネルギーが必要です。水星は地球より太陽に近いので、地球の重力圏を脱出すれば、太陽からの引力を利用して加速できます。しかし、それだけだと加速しすぎて水星の軌道を通り過ぎてしまったり太陽に向かって落ちてしまいます。そうならないように適切にブレーキをかけたり方向転換したりする必要があるのです。