ヘビーメタルは日本語でいうと「重金属」です。一般に重金属とは鉄より重い(原子番号が大きい)金属元素のことをいいます。
太陽系の惑星はガス惑星と岩石惑星に分類することができ、水星は岩石惑星に分類されます。しかしながら、水星については、岩石惑星というよりも金属惑星と表現する方が的確かもしれません。
水星は何からできている?
水星はその体積の61%以上が鉄とニッケルなどの金属元素でできていると推測されています。
なぜそんなことがわかるのでしょうか?
惑星の内部構造を調べる手がかりとなるのは、その惑星の密度です。密度は質量と体積から計算できます。
水星の質量はその近くを通った探査機の軌道変動や金星の軌道が水星によって乱される度合いを計測することで推定することができます。そのようにして求めた水星の質量は3.301 ×1023kgです。これは地球の質量の6%に相当します。
水星の半径はマリナー10号の計測で2439kmと求められています。したがって、水星の平均密度は5.43 g/cm³と計算できます。地球の平均密度は5.51 g/cm³なので、平均密度は地球とほぼ同じです。
しかし、地球の場合は質量が水星の20倍近くあるので、中心での圧力は360万気圧にもなり物質は通常の状態ではなく押しつぶされた状態になっています。それに対して水星中心部の圧力は25万気圧から40万気圧で物質はほとんど圧縮されていません。
地球の物質の圧縮を解いて全てを1気圧下の状態に換算すると密度は4.1 g/cm³程度になります。水星について同様に換算しても5.3 g/cm³と補正前とほとんど変わりません。
下記のグラフは地球型惑星の半径と密度の関係です。この図からも水星が高密度であることが分かります。
以上のことから、水星は地球よりも重い物質でできていることは明らかです。しかし、水星の表面は月のような岩石質の物質でおおわれているので、内部に重い物質があると考えられます。