ちなみに太陽と水星の距離は5790万kmで、太陽と地球の距離の約5分の2しかありません。

ここで勘違いしないようにしないといけないのが、水星の1日が176地球日だからといって、水星の自転周期が176地球日なわけではないという点です。

自転周期とは水星自身が1回転する周期です。一方で1日(1太陽日)というのは、日の出から次の日の出までの時間を指します。

そのため水星の1日は176地球日ですが、自転周期は約59地球日なのです。

なんで? と頭がこんがらがる人もいるかもしれないので、このようになる理由について図を使って説明しましょう。

例えば、下の図の赤の四角いマークのところに水星の都市があると仮定してみましょう。

水星の一日と自転周期。赤い四角は水星上の固定された位置を示している。
水星の一日と自転周期。赤い四角は水星上の固定された位置を示している。 / Credit:創造情報研究所

この都市に朝日が差し込む、日の出からスタートして、水星が1回転したときこの都市から太陽がどのように見えるか考えてみましょう。

水星の自転は、公転と同じくらい遅いため、1回転しても完全に太陽に背を向けることができないのです。これは地球に常に同じ面を向ける月と地球の関係に似ています。

そのため、1回自転しても、水星上の都市では1日の半分も経過していない状態になってしまいます。せいぜいお昼過ぎぐらいです。

公転周期の88地球日たってちょうど、水星の都市は日の入になるので、1年の時間が過ぎても、まだ半日、やっと夕方なのです。したがって、自転周期は59地球日ですが、水星の1日は176地球日ということになるのです。

公転と自転が共鳴する

水星では1日の長さが公転周期の2倍になっていますが、自転周期と公転周期の間にも奇妙な関係があります。水星の自転周期と公転周期の比は2:3です。水星が太陽の周りを2回転する間に3回自転するという関係です。

太陽系天体の運動にはこうした簡単な整数比になる現象が良く見られます。