「国策と地域のずれ」が問題
政府は観光立国を掲げ、インバウンドの増加に躍起になっている。そして近年では一人当たりの消費額が桁違いに高い富裕層を増やす目標を掲げている。しかし、こうした国策を東氏は問題視する。
「過剰な観光地化は物価上昇だけでなく、様々な形で住民の生活環境の悪化(観光公害)を招き、観光に対する怖れや反発につながります。ニセコを成功例とする見方もあるようですが、住民生活への影響を考慮すると、観光需要が増加し、投資や新規参入が進むことが必ずしもよいことばかりとは限りません。京都ではすでにオーバーツーリズムの弊害が指摘されています。インバウンドをもっと増やしたい国と過剰な観光地化を怖れ悩む地域、『国策と地域のずれ』が生じているように感じます。地域の観光受容力をふまえた『適正規模の観光』をめざしていくべき時に来ているように思います」(同)
飲食店などの物価上昇はニセコの住民にそこまで影響を与えていないようだが、新たなリゾート施設の開発が相次ぎ、地価上昇が続いている。そして過剰な観光地化が「まち」にまで広がれば、現地の住民は物価上昇以外にもさまざまな悪影響を被ることになるだろう。ニセコ、ひいては全国の観光地で問題が表面化する前に、国は政策を見直す必要があるのかもしれない。
(文=山口伸/ライター、協力=東徹/立教大学教授)
提供元・Business Journal
【関連記事】
・初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
・地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
・有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
・現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
・積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?