米軍自身の経費削減などによる再編成や沖縄県の大きな反対の声もあり、米国はハワイやグアムに最近拠点を移しました。沖縄の「私たちは米軍は不要。平和が欲しいのです」という言葉に代表されるように、米軍批判ばかりの日本にいても仕方がないという意見が議会など米国側にありました。しかし、ここ数年の緊張感の高まりにより、日本は自国で自国を守れないことが再確認された。日本政府の台湾有事シナリオでも、史上初のことですが、いかに米国を「巻き込むか」という考えが、盛り込まれました。
その流れで、ハワイはあまりにも遠く、日本防衛がますます難しくなる。だから日本がお願いして米軍と自衛隊が連携することになったのです。日本の”お願い”を指摘した青木氏は、実質的に自衛隊が米軍の「2軍になる」というような発言をした。現実的にそう見える局面はあるかもしれませんが、本質をあまり理解していないようです。2軍ではありません。ここ数年の米国側の考えを直接取材すれば少しは分かると思います。80年くらい前に米国は日本の侵略戦争阻止で押し付けた憲法。それを日本はいまだに修正しない。その憲法ではいまだに国防軍ではない自衛隊が「1軍」でまず前線に出ていくことになる可能性が高いのです。
私は米国の駐日大使10人、アーミテージ国務副長官やハーバード大学特別功労教授のジョセフ・ナイ氏など米側担当者多数と過去30年くらい何度も対談してきた。9条を言い訳に米国防衛などしないでTVを見ている日本人(トランプの言葉)。自国防衛でも積極的に動かない日本に対して、日本防衛を一緒にやろうというのは10年くらい前までの話です。ここ数年は、「自分の国の防衛だから、まずは自衛隊が正面に出なさい。米軍は後方支援するから」という論を、数多く聞くようになりました。自衛隊は2軍ではない。内容が伴うかはまだ分からない。多分米国直接取材をしていない青木氏が理解していないが、米国にしたら自衛隊は立派な1軍なのです。昔と違う日本領土の南方作戦のやり方をみれば明らかです。トランプ大統領なら、ますますその傾向が強くなるでしょう。