〇総労働投入時間、民間の総賃金

総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は就労者数の伸びが前月を下回っただけでなく、労働時間が前月比で短縮したため、前月比で0.2%減と3ヵ月ぶりに減少した。

民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は前月比横ばいにとどまり、増加を2カ月で止めた。なお、4月分は同0.1%減に下方修正されたため、2020年5月以降の増加トレンドに終止符を打っていた。前年同月比は4.8%増と、2021年3月以来の5%割れ。3カ月平均も5.1%増と、こちらも2021年3月以来の5%割れが近づいた。

チャート:民間部門の総賃金、2021年3月以来の5%割れ

NFP24jul_gwage (出所:Street Insights)

〇失業率、労働参加率、就業率、不完全就業率、長期失業者

失業率は4.3%と市場予想と前月の4.1%を上回り、2021年10月以来の高水準だった。労働参加率は前月の62.6%から62.7%と3ヵ月ぶりの水準を回復したため、失業率の上昇につながった。また、失業者数は前月比35.2万人増、就業者数の同6.7万人増を大きく上回ったため、失業率を押し上げた。

自発的離職者数は85.5万人と2ヵ月連続で増加し、2019年平均を上回った。自発的離職者数に占める失業者の割合は11.9%と、3ヵ月ぶりの水準へ上昇した。

チャート:自発的離職者数は、2カ月連続で増加

NFP24jul_jl (出所:Street Insights)

自発的離職者数が2カ月連続で減少した一方で、失職者数(一時的な解雇ではなく再編やM&Aなど会社都合での解雇者、派遣など契約が終了した労働者)は、前月比6.5人増の42.7万人と増加に反転、2021年11月以来の高水準だった。失職者数の割合は他の増加幅が大きかったため前月の35.1%→33.9%へ低下しつつ、失業者のシェアで1位を維持した。失職者のうち、完全解雇者が労働人口に占める割合は1.0%と、2021年11月以来の高水準をつけた5月の1.05%ににじり寄った。その他、レイオフ(一時解雇者)は106.2万人と、2021年9月以来の水準へ急増した。結果、前月の12.1%→14.8%へ上昇し、2021年8月以来の高水準に。一方で、再参入者と新規参入者は、それぞれ前月の31.1%→30.2%、前月の10.5%→9.1%へ低下した。