年齢別の視聴率

 年齢別の視聴率動向も興味深い。「経済ビジネスに関心あり」層を年齢別に分析してみよう。

『新プロジェクトX』全世代で高い離脱率…現代と齟齬、現実を無視した感動演出
(画像=(C)次世代メディア研究所,『Business Journal』より 引用)

 全体平均は徐々に下がり、第3~4話では1割強の下落となった。変化の激しい競争社会で戦う人々にとって、やはり番組は少し違和感がある。これが40~50代の現役バリバリ層だと、第2~3話は1割強の下落となったものの、黒四ダムのような歴史的偉業には目を引かれたようだ。

 興味深いのは60歳以上の現役を引退した層。話題を聞きつけたのか第2話は上昇したが、それ以降は下落の一途だ。“失われた30年”という日本経済の低迷を直に体験してきた層だ。どうやら番組が描く成功物語に異論がありそうだ。

 問題なのは39歳以下の若年層。第2話で4分の1、第3話では3分の1が脱落した。「経済ビジネス」に関心はあるものの、生まれた時から“失われた30年”だった層には、番組が描く成功物語が絵空事に見えているのではないだろうか。「自分たちが直面するビジネスの世界と違い過ぎる」という不満の声が聞こえそうだ。