否定的ダブルバインドから抜け出す方法

否定的ダブルバインドが長く続くと自己否定が強くなり、自由に考えたり行動したりできなくなってしまいます。否定的ダブルバインドをする側もされる側も、悪循環に陥っていることを自覚し、そこから抜け出すための行動をとることが大切です。

否定的ダブルバインドから抜け出す方法を、される側とする側に分けて紹介します。どちらの場合でも、まずは「ダブルバインドに陥っていること」に気づくことが大切です。

ダブルバインドされる側が抜け出す方法

される側がダブルバインドから抜け出すために、まずはダブルバインドを受けていることを自覚しなければなりません

ただ、ダブルバインドを受けている人は自己否定が強く、自分の考えが間違っていると思い込んでしまうことが多いです。「これってダブルバインドかも」と思っても、「あの人がそんなことするわけない」と自分の考えを自分で否定してしまうかもしれません。

ダブルバインドを受けていると自覚するのは難しいので、まずは誰かに相談してみましょう。知人・友人や家族に相談してもいいですが、学生ならスクールカウンセラー、社会人なら会社や自治体の窓口に相談するのがおすすめです。ダブルバインドや心理的な問題に関する知識がある人に相談した方が適切な答えを得やすいですし、自分と直接関わりのない人の方が本音を話しやすいからです。

ダブルバインドをする側が気をつけたいこと

親や教師、上司などの強い立場にある人は、まずはダブルバインドに関する知識をつけましょう。ダブルバインドは無自覚にしてしまうことが多いです。どのような状況がダブルバインドなのか、本記事で紹介したような具体例を頭の片隅に置いておくことで、自分がダブルバインドをしてしまっていることに気づけるようにしておきましょう。

これにより、ダブルバインドをしてしまったとしても、「今のはダブルバインドだったな」「どうすれば再発を防げるかな」と気づき考えられるようになります。

「ダブルバインドをしてしまうかもしれない」という意識を持つこと、常に気を付けることが大切です。

肯定的ダブルバインドはさまざまなシーンで活用できる

「国語と算数、どっちの宿題を先にやる?」「ポテトはS・M・Lのどのサイズにしますか?」のように、具体的で矛盾しない選択肢を示すのが肯定的ダブルバインドです。

否定的ダブルバインドは親子関係や職場での人材教育など、さまざまなシーンでポジティブに活用できます。具体的な活用例をシーン別にいくつか紹介します。

親子関係における活用例

否定的ダブルバインドが起こりやすい親子関係でこそ、肯定的ダブルバインドを意識的に活用していきたいです。肯定的ダブルバインドを意識することで、自然と否定的ダブルバインドから抜け出せるでしょう。

具体的には、次のような肯定的ダブルバインドが考えられます。


子関係における活用例



  • 子どもにアニメのDVDを借りてあげようと思うが、見せたくないものもある。そんなときは「好きなアニメを選んでいいよ」ではなく、「AとB、どっちがいい?」のように聞く

  • 時間が遅くなってきたので子どもを公園から帰らせたいときは、頭ごなしに「もう帰るよ!」というのではなく、「今帰ったらアニメの時間に間に合うよ」のように、帰るメリットを提示してみる



恋愛における活用例

肯定的ダブルバインドには人間関係を円滑にする効果があります。次のように、恋愛でも活用できます。



  • 「今度一緒にランチしませんか?」ではなく、「一緒にランチに行きたいんだけど、洋食と和食だったらどっちがいいですか?」と聞いてみる




  • デートに誘うとき「今度一緒に出掛けましょう」ではなく、「映画館と水族館、どっちに行きたいですか?」と選択肢を示してみる



人材育成における活用例

職場で部下や後輩を教育するときも、肯定的ダブルバインドを意識することで否定的ダブルバインドを防げます。部下や後輩の主体性を育み、積極的にチャレンジできる人材へと育てるためにも、次のような方法で指導してみましょう。


人材育成における活用例



  • 部下に自分で考えて仕事を進めてほしいが、取り返しのつかないミスは防ぎたい。そんなときは「社外の人にメールやチャットを送るときは、メッセージを書いた後一度見せてほしい」のように、どんなときに指示・確認を仰ぐのか具体的な線引きを決めておく

  • 部下にマネジメントを任せていたが、部下の確認漏れでミスが起きてしまった。そんなときは頭ごなしに叱責するのではなく、部下自身に原因や再発防止策を考えてもらいそれをフィードバックする。自分のなかで再発防止策をいくつか考えているなら、部下にヒントとして提示する



セールスにおける活用例

セールスでは「買うか買わないか」ではなく、「買うことは前提として、どちらを買うか」という肯定的ダブルバインドを活用することで、売上アップにつなげています。具体的には次のような方法で活用されています。


セールスにおける活用例



  • 「サイドメニューをお付けしますか?」ではなく「サイドはポテトとナゲットどちらにしますか?」と、サイドメニューを付ける前提で質問する

  • 車や服を買うことを迷っている利用客に「買いますか?」と聞くのではなく、「色は青と黒どちらがいいですか?」「体系的にはMサイズがジャストですけど、Lサイズでちょっとダボっと着るのもおしゃれですよ」と、買うことを前提に選択肢を提示する