否定的ダブルバインドがもたらすネガティブな影響

否定的ダブルバインドを受け続けた人は、自分ではなく相手の意思を優先するようになっていきます。結果として「自信を持てなくなる」「自分の考えがわからなくなる」「精神的な疾患に陥る」などのネガティブな影響を及ぼすでしょう。


否定的ダブルバインドがもたらすネガティブな影響



  • 自己否定が強まり本来の能力を発揮できない

  • 萎縮してしまい自由に発言・行動できない

  • 否定的ダブルバインドが続くと精神的な疾患に陥ることも



自己否定が強まり本来の能力を発揮できない

否定的ダブルバインドでは自分の意思が尊重されません。相手に認めてもらえる選択肢を選び続けるうちに「自分の意思は尊重されない」「自分の考えや意見は認めてもらえない」と刷り込まれ、自己否定が強まりまっていきます。常に萎縮した状態になり、本来の能力を発揮できなくなるでしょう。

たとえば先述の「公園からなかなか帰ろうとしない子どもに”勝手にしなさい!”という親」の例で、子どもが「わかったよ。僕は勝手に遊んでるから、お母さんは先に帰っていて」と答えたとします。

ここで「じゃあ、お母さんは先に帰ってるから、あなたは満足してから帰ってきなさい」と言う親はまずいないでしょう。子どもは勝手にしなさいと言われたから「僕はまだ遊んでいるからお母さんは先に帰って」と答えたのに、実際に勝手にしたら、それが否定されるのです。

このような体験をくり返すことで自己否定が強まっていきます。

萎縮してしまい自由に発言・行動できない

否定的ダブルバインドで自己否定が強まった人は、常に萎縮した状態になってしまいます。「自分の意見は認められない」という気持ちが強まり、「言っても無駄」「どうせ否定される」と、自由に発言・行動できなくなっていくでしょう。

たとえば進学で「好きな学校を選んでいい」と言われた子どもが、自分の行きたい学校を自由に選んで親に提示したとします。しかし、親は「その学校は偏差値が低いから」「就職を考えたらこっちの学校の方がいいんじゃない?」と、子どもの選択を認めませんでした。好きに選んでいいと言いながら、実際は親の基準に沿わない選択は認められないのです。

このようなことが続くと、子どもは進学先や就職先を自分の意志ではなく「親が認めてくれるかどうか」で考えるようになります。「相手が認めてくれるかどうかで決める」という考え方が習慣になると、自分の意思を尊重しなくなり自由に発言・行動できなくなる、自分の考えがわからなくなるなどの弊害が出てくるでしょう。

否定的ダブルバインドが続くと精神的な疾患に陥ることも

否定的ダブルバインドが続き自分の考えがわからなくなると、自分で考えて動くことができなくなってしまいます。たとえば「大学に入り受けたい講義を自分で選ぶ」「社会人になり自分で企画を考える」などの状況になると、頭が真っ白になってしまうのです。

否定的ダブルバインドを受け続けた人は常に強いストレスにさらされることになり、精神的な疾患に陥ることもあります。子どもの頃はおねしょや不登校、大人になってからはうつ病や依存症などの精神的な疾患、トラブルが起こりやすくなってしまうのです。