では、不正が行われていた修理部門にいた場合はどうか。

「職務経歴者でも面接でも志望者が企業に虚偽の内容を伝えることは許されないので、もし不正に関与した経験があるのなら、『納得しないまま会社の指示でやってしまったことを非常に反省している』『もう今後は真っ当な仕事をしたいので御社を志望している』と正直に話せば、マイナスの評価をされることはあまりないと思います」(川畑氏)

 一方、店長や部長など管理職だった場合、転職活動は厳しいものになるという。

「ビッグモーターは、幹部をはじめとする管理職による現場社員へのパワハラや不正行為の強要によって売上を上げるという企業体質だったことが明らかになっており、どうしても『そういうことをやって出世した』というイメージを抱かれるので、同社の元管理職の方が『私はやっていなかった』と言っても、信じてもらうのは難しいでしょう」

 また、中堅IT企業役員はいう。

「管理職を除いて、ビッグモーターの元社員だからという理由で転職活動で不利になるということはない。同社はかなりノルマがキツかったので、そこで3年なり4年なり続いていたというのは、ポテンシャルが高くメンタルが強いと評価される。同社は採用時に学歴や経歴を問わず、いろいろなタイプの社員がいると思われ、結局、転職がうまくいくかどうかはその人次第。個々人の志望先企業が求めるスキル・能力とのマッチング、人柄、企業との相性次第ということ」

 和泉社長は先月25日の謝罪会見当日、全社員向けに「全員の力を結集し、お客様満足を追求していけば必ず強いビッグモーターに戻ることができる」などと書かれたメールを送付しており、会社は社員の引き留めに躍起になっている様子がうかがえる。