「元ビッグモーター社員」の肩書は無関係
一連の不祥事をめぐり注目されているのが、退職者の動向だ。7月20日付「日刊自動車新聞 電子版」記事は、1~3月の間に約1000人の社員が退社したと報じており、和泉伸二社長は先月26日、経営陣が謝罪会見を行った同25日から退職者が6人出たとして「もう少しあるかと思っていた。会社が生まれ変わる期待を持っていただいていると思いたい」と語っていた。
「ビッグモーターを退職し、中古車業界に嫌気がさして別の業界に転職する人が相次いでいる」(中古車業界関係者)
同社は組織ぐるみで不正をしていたため、退職した元社員は採用してくれる新たな就職先を見つけるのが難しいのではないかという声もみられるが、主に20代のキャリア支援を行う株式会社UZUZの専務取締役、川畑翔太郎氏はいう。
「所属していたのが不正を行っていた修理部門ではなく、かつ管理職ではなかった場合、ビッグモーター出身であることが転職活動にマイナスの影響を与えるとは考えにくく、むしろプラスに働く可能性もあります。日本の企業には、いまだに転職に対してネガティブな印象を持つ風潮があり、面接でも『なぜ転職するのか?』という点を聞かれますが、今ビッグモーターを辞めて転職活動をする人は、その点を改めて説明する必要はなく、理解が得やすい。志望先の企業から『大変だったね』と同情を得られることもあるでしょう。
また、就職面接では『アイスブレイク』といって、面接官と志望者の間の緊張が解けると志望者にとっては有利になりますが、元ビッグモーター社員という『避けては通れない話題』は、アイスブレイクの観点だけで見ればプラスにもなり得るでしょう」