■自供しないサイコパス

 逮捕後、厳重な監視のもとに置かれていたイスラエルは、一度、逃亡を図っている。無謀な試みで数歩で複数の警察官に取り押さえられたが、その時、いつもは落ち着きはらっている彼が叫んで大暴れしたと伝えられている。取り調べが長期化するにつれ「早く死刑にして欲しい」約束が実行されないことに、イスラエルはかなりの憤りを感じていたようだった。

 さっさと死刑にして欲しいと願った理由は「早く終わりにしたいから」と言う理由のみだったが、刑務所では強姦魔や幼児生虐待者はリンチの対象になることを知っていたからだとも見られている。

 また、イスラエルは裁判になるのも嫌がっていた。これは裁判になれば娘に“優しいパパ”以外の自分を知られるからだとみられている。8カ月間にわたるFBIの取り調べで、誰を殺したのか、何人殺したのかを明かさなかったのも「全て自供したら大々的に報じられるから」だと思ったからだろう。

 取り調べに辟易していたイスラエルは、2012年12月1日、拘置所の看守がうっかり回収し忘れたひげ剃りの刃で、自分の手首を切り自殺した。裁判が始まる3カ月前のこと。34歳だった。

「なぜ殺したんだ?」という捜査班の問いに「なぜ殺しちゃいけないんだ?」と大笑いしたイスラエル。彼が遺した血の染みた遺書はポエムのようなもので、FBIが期待している被害者に繋がる情報は何一つ書かれていなかった。FBIの中では「サマンサには気の毒だが、彼女が餌食となったことでイスラエルは捕まった。そうでなければ、いつも自宅から遠く離れた場所で、殺人を行っていたイスラエルが捕まることは、永遠になかったかもしれない。イスラエルはまだ若かった。彼が寿命まで殺しを続けていたら、とんでもない数になっただろう」という声も上がったが、確かにその通りだろう。

 FBIはイスラエルの死後、彼が飛行機で訪れた地区や時期などを公開し、彼に関する情報があればどんな小さなことでもよいかから欲しいと呼びかけている。

※当記事は2016年の記事を再編集して掲載しています。

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提供元・TOCANA

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