■カリア夫婦の強姦殺害
まだまだ沢山の殺人や犯罪をやっているかもしれないが、教えてやるのには条件があるとイスラエルは言った。「死刑執行日が知りたい。終身刑はなしだ。全て終わったら1年以内に必ず死刑を執行して欲しい。もしダメだというのなら自分でやる」「娘には普通に育って欲しい。だからメディアに自分の犯罪を公開しないでくれ。別に凄いと思われたくてやったわけじゃないし。みんなに知ってもらいたいわけじゃない」と涼しい顔で言い放ったのだ。
FBIは死刑に関しては自分たちが決められることではないので約束できない。他のことはできるだけ努力すると答えた。イスラエルは不服そうな表情になり、これまでの犯行を語ることを渋り出した。しかし、連日行われる捜査官の取り調べで、小出しに語り始めた。そして、「よし。じゃ、今日は2人の名前と死体がどこにあるのか教えてやろう」「シガーをくれればな」と爆笑した。シガーをもらったイスラエルはうまそうにくゆらせながら、「ビル・カリアとローレヌ・カリア。バーモント州のエセックス郊外にある廃墟の地下」とニヤニヤしながら言った。
2011年6月9日、バーモント州エセックスの静かな街の警察に「カリア夫婦が行方不明」だという通報が入った。通報者はローレヌと同じ職場のビルの女兄弟。「ローレヌが無断欠勤したため心配になりビルに連絡したところ、彼も無断欠勤していたことが分かった。夫婦ともに勤続20年以上だが、こんなことは一度もなかったため、何か事件に巻き込まれたのではないかと心配になり自宅へ行ったとのころ、2人はおらず車もなかった。とても心配だ」と通報したのだった。
ビルは49歳、ローレヌは55歳。結婚25周年を祝ったばかりの夫婦は問題を抱えているわけでもなく、いつも幸せそうだった。そんな2人が忽然と消えてしまった。自宅玄関には鍵がかかっており、窓も全て閉められていた。ガレージから家に繋がっているドアのガラスが割られているを警察は発見したが、家の中は荒らされていなかった。2人が服用していた薬、職場に着ていく服、運転するときにかけていた眼鏡、財布までもが家に残されていた。
警察は事件に巻き込まれたと睨み捜査を開始。しかし全く手がかりがつかめない。地区内で夫婦が消えた翌日、夫婦の愛車に似た車を運転している男を目撃したという情報が寄せられ、目撃者の記憶をもとに運転者のスケッチが作成されたが、ビルとは似ても似つかぬ男だった。有力な情報はこれ一つしかなく、事件は迷宮入りしてしまった。
イスラエルは、サマンサ殺しを認めた後、このカリア夫妻殺しを自供。自責の念のかけらもない口調で「夜中、電話線を外の切ってからガレージから自宅に続くドアのガラスを割り侵入した。寝ていた2人を起こし、手首を縛り、彼らの車で郊外の廃墟へ行き、夫は地下室の椅子に縛りつけ、上の階で妻を強姦した。最中に夫が紐から抜け出したので、シャベルで繰り返し殴り射殺した。妻は絞め殺した。死体を地下室に運び、配水管洗浄剤をかけ、黒のゴミ袋に入れて地下室のがらくたの中に押し込んだ」と自白した。
バーモント州警察はすぐに廃墟に向かったが、すでに解体されていた。解体業者は「もの凄い腐敗臭がしたが動物の死体だと思った。あまりにも凄まじい悪臭で中に入れないほどだったので、確認はせず、廃墟を解体してゴミ捨て場に移動させた。人間の死体があるなんて思いもしなかった」と明かした。
イスラエルがカリア夫婦を殺した理由は、人を殺したかったからだった。彼らは、ペットもいない夫婦二人暮らしで、家に入れるタイプのガレージがあるというだけでイスラエルに目を付けられ、殺されたのだ。