■18歳から強姦魔に

 イスラエルは20歳の時に米陸軍に入隊しフォート・ルイス基地、フォート・フッド基地、エジプトで任務についた。仕事ぶりは真面目でメダルやリボンも贈られており、2000年に円満除隊している。

 しかし、軍隊に入る前からイスラエルは犯罪に手を染め始めていた。18歳の頃、オレゴン州の人気のない山奥の川で遊んでいた若い女性を強姦。殺すつもりだったが「女性が話しかけてくるから殺す気がなくなり逃がした」。その後、泥棒に入ったり盗みをするようにもなったと調査で明かしている。FBIは、イスラエルがこの時期、すでに殺しを始めており、軍人時代もまとまった休みを利用し殺人を犯していたと見ている。最初に「14年間、私は2つの顔を完璧に別けて暮らしてきた」と自供していたからだ。

■14年間人を殺し続けることができた理由

 人殺しが趣味だったイスラエルは、FBIも驚くほど、計画的な殺人鬼だった。仕事だと言い、自宅から遠く離れた州の田舎街へ行き、下見をしてターゲットを決める。殺人旅行時の支払いは現金のみ。携帯電話も使用しない。誘拐し、殺して、その土地を去るというシンプルなルールに沿って人殺しをしていった。カリア夫婦の場合、アンカレッジからシカゴへ飛行機で移動し、そこからバーモント州まで何時間もかけてレンタカーで移動した。現場から遠く離れた人気のない池の中に殺人に使った道具を投げ捨て、再びシカゴまで車で、シカゴからアンカレッジまでは飛行機で戻った。飛行機には実名で乗った。捕まらない自信があったからだ。

 アラスカに住んでいた2007年から2012年までの間、20回以上飛行機でアラスカを出ているが、全て実名で搭乗していた。カナダ、メキシコ、ハワイにも行っている。

 軍で拳銃など武器のことを学んだ彼は、プラスチック製の大きな丸いコンテナに数年放置しても使用可能にメインテナンスした拳銃、ロープ、ゴミ袋、配水管洗浄剤、現金などをまとめた「殺人キット」を複数の山奥に埋めたことを認めている。こうすることで、手ぶらで行っても殺しができるからだ。カリア夫婦殺しに使った拳銃なども、2年前に隠したものを使った。FBIは、少なくともニューヨーク州、テキサス州、ワイオミング州、アラスカ州の山中に、今もイスラエルが埋めた「殺人キット」が埋められているとされている。

 なお、これらの殺人に費やされた資金は、銀行強盗で手に入れたこともイスラエルは明かしている。ニヤニヤしながら「ニューヨークとテキサスでやったかな」とだけ語ったそうで、FBIが捜査したところ、2009年にニューヨークのタッパーレイクで発生した銀行強盗はイスラエルの犯行だと確定された。こんな大胆に犯罪を積み重ねてきたイスラエルだが、犯罪歴は若い頃の「飲酒運転と失効した免許証での運転」の2つだけ。外見も普通で、本当にどこにでもいるような「目立たない」男だったのだ。

■湖に遺体を捨てまくっていた

 イスラエルは自分が殺した人の名前や遺体の場所は明かさなかったが、全てを記憶していたと見られている。調査の中では、ワシントン州で4件、ニュージャージー州で1件、他にも3件の8人を殺したことをほのめかしたが、こんなものではないとFBIは確信。イスラエル自身もこんなものではないとほのめかしていた。「自分の犯罪はさ、大半はニュースにもならなかったんだよね。何てことないことなんだよ。話すまでもない」「殺した大半の人たちは自分が自供しなければ、絶対に見つけられないよ。自信を持って言える。新聞にも載らないような行方不明の人と自分を結びつけるものはないしね。自分が言わない限り永遠に分からないよ」とドヤ顔で言っているからだ。

 戸惑うFBI捜査員たちに、楽しみながらサイコパスっぷりを披露していたイスラエルだが、強姦について語るときだけは嫌そうな表情になった。殺すターゲットに特定の年齢層も、性別も設定してなかったイスラエルは、男も強姦していたことを明かしているが、殺し程は楽めなかったようだった。死姦をしたことも認め、強姦よりも死姦を楽しんだと見られている。

 イスラエルはまた、ワシントン州のクレッセント湖に死体を捨てたことも明かしている。この湖は深さが190~300mあるとされており、ダイバーも捜索できないほど深い湖だ。イスラエルは、この湖のことをFBI捜査員たちに「知っているか?」と話し「この湖は死体を沈めた湖のうちの一つだ」と認めている。FBIは、湖はイスラエルが犯した殺人事件の鍵を握ると睨んでいる。サマンサの遺体は湖に捨てているし、カリア夫婦殺しに使った拳銃なども湖に捨てたと供述しているからだ。

究極のサイコパス…いまだ殺人件数不明の連続殺人鬼イスラエル・キースの異常性
(画像=21967857によるPixabayからの画像,『TOCANA』より 引用)