■キオスクで働く少女を誘拐

 2012年2月1日、アラスカ州アンカレッジの小さなコーヒーキオスクで1人で働いていた18歳のサマンサ・コーニックが行方不明になるという事件が発生した。キオスクは交通量の多い道路の側で営業していたが、目撃者はいない。しかし、外に設置されていた防犯カメラには極寒のこの地で多くの人が被っているフェイスマスクをした男がキオスクに近寄り、しばらくしてサマンサを抱えるように連れ出す姿が映っていた。キオスク内の防犯カメラにも拳銃を持った男に指示され電気を消すサマンサの姿が映っていた。

 男はサマンサの手首を縛り、外に連れ出したというところまで確認できた。時刻は夜の8時だった。

 警察はすぐ捜査に行き詰まった。犯人に繋がる遺留品がなく、動機も分からなかったからだ。犯罪率が低いこの街では、これまでこのような誘拐事件が起きたことがなく、市民は一丸となってサマンサを探した。警察はどんなに小さな情報でもサマンサに繋がるのではないかと調べた。しかし、サマンサに関する手がかりは全く掴めなかった。