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そういう意味で、「今の欧米人が何を思ってこういう彼らなりの”日本時代劇”を作ってるのか」について、私達は真剣に考えていくべきタイミングになっていると言えるでしょう。
6. アサクリシャドウズの文化盗用問題のざっくり解説そういう「幻想の中のイデアとしての日本」を描いているSHOGUNとかゴーストオブツシマと違って、もうちょっと違う視点を出そうとしてトラブルになってるのが「アサシンクリードシャドウズ」の黒人サムライ問題なのだと思います。
これ、日本人の性質から言って、単に「次の荒唐無稽異世界サムライバトルもの」では主人公が黒人ですってだけなら「はいはいそういうのもいいかもね」ってなってたと思うんですね。
日本における反応も最初はそんな感じだったんですが、その後二重三重にややこしいことになって大炎上案件になってしまった感じなんですよ。
これ、興味ない人は全然知らないと思うのでざっくり説明しますが、まず「アサシンクリード」シリーズというゲームがあるんですね。フランスのUBIソフトという会社が出しています。
これが、「色んな歴史の影にある2つの闇の勢力同士の争いがあったのだ」的なストーリーが展開しているシリーズで…
少なくとも過去のシリーズについては、歴史の教材としても使えるほどのクオリティで当時のその地域の街が再現されているという評判だったんですよ。
ギリシャ版のゲーム内さんぽ
9世紀のイラクバグダードの場合
イングランドを征服するバイキングの世界
こんな感じで、例えば「9世紀のイラクのバグダードでは、この歴史上の人物の背後に2つの教団同士の闇の戦いがあって」みたいなストーリーを、「現実の歴史」を縦糸に、「闇の教団同士の争い」を横糸に・・・という感じで描いているシリーズなんですね。
で、僕はこの中のひとつ、「イングランドを征服するバイキングのゲーム」=「アサシンクリードヴァルハラ」を一応プレイした事があるんですが、少なくとも僕みたいに北欧やイングランドの歴史をめっちゃ知ってるわけでもない人間からすると文句なく「歴史の一場面を目撃してる感」があるすごいゲームとしてありました。(ただ実際の本当の専門家からするとちょっと微妙な部分もあったらしいです)
「アサクリヴァルハラ」は、最初ノルウェーの雪に閉ざされた寒村からスタートするんですが、色々あって「兄貴分」の存在と一緒に「イングランドに攻め込むぞ!」ってなって、イングランドにわたってから拠点を広げてって、だんだんイングランド人とも馴染んでいったり、バイキング内での主導権争いでその「兄貴」と対立したり・・・とかしながら「その時代を体験する」ことができるすごいゲームでした。
「これの日本版」が出るってなったら日本人としては期待しちゃうわけですが、それの主人公が、伊賀のクノイチ女性と、弥助っていう黒人サムライという設定になっていて。
「弥助」というのは、織田信長が南蛮人の連れていた黒人奴隷が気に入って近習の者に取り入れたという史実があるんですが、それがなんか最近海外で「黒人のサムライがいた」というふうに拡大解釈した”ちょっとトンデモ歴史本”が妙に売れたりして余計に問題を難しくしているらしいです。
この「日本に黒人のサムライがいた!」っていうトンデモ本についてちょっとだけ抜書きしてくれてるツイートがあったんですが↓、確かにめっちゃトンデモ本感あります(笑)
I'm aiming to publish my article on Yasuke today, but one of my favorite bullshit claims around him that I've come across in my research is that he had descendants.
Thomas Lockley's book African Samurai is full of these baseless speculations. Read this hilarious passage. pic.twitter.com/zh6is0u0VU
— Oliver Jia (オリバー・ジア) (@OliverJia1014) December 9, 2023
パリに行ったミツヤタマキというサムライの写真が黒人に似てて、「ミツヤのヤ」と「弥助」の「ヤ」は同じ漢字だから弥助の子孫かも?なーんちゃってみたいな事が書いてある(笑)
このトンデモ本が結構アメリカで売れたらしくて、それをベースにして弥助の英語版ウィキペディアが編集合戦になったりしているそうで、ちょっと二重三重に頭が痛い感じになってますね。
また、UBIソフトのアサクリシャドウズ制作者インタビューで、「日本人ではない弥助の視点を入れることで、日本人以外にこの世界を理解しやすくできる」という意図が説明されていたのが、「日本人には感情移入できないってのかよ?」的な反発を生んでその部分はサイレント修正されていました。(このツイートがまとめてくれてます)↓
この記述↑が、以下↓のようにサイレント修正されてしまった
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とここまで駆け足で事情を説明してきましたが(ご存知の方は迂遠ですいません)、そういった疑義が着くと、↓こういう「アサクリシャドウズ」の広告動画も、「あら捜し」をする眼で見ると色々と問題があるわけですよね。
安土城の畳が正方形だし、畳の縁を踏んで正座で座ってるのが作法と違う
とか、
”すすき”が見えてる秋のはずの風景に桜が咲いている
とか、アレコレ言われてて「確かにw」という感じになっています。
でもこれ、UBIソフトが、バイキングやギリシャやバグダードを描く時にはちゃんとしてたけど、日本の時はテキトーになった・・・かというとそれはちょっとよくわからないんですよね。
北欧のことそこまで知らない自分にとって「アサクリヴァルハラ」は完璧な「北欧世界」って感じだったけど、実際に北欧の専門家からすると「正方形の畳」「すすきの季節に桜が咲いてる」とかいうレベルのことはアチコチにあったのかもしれないし。
なにより、アサシンクリードは実はかなりSF的に「現代まで続く闇の教団同士の争い」を描く作品なので、バイキング時代のイングランドの山奥に「天空の城ラピュタ」みたいな超高度技術っぽい古代遺跡があって、その奥地で「エクスカリバー」っていう剣を入手できるみたいなテキトーな世界観でもあるんですよね。