■そして惨劇が
ジョンは殺される48時間ほど前から、自分の身に起こることを悟っていたと見られている。
殺される2日前の夜、ジョンがふと目を覚ますと、ベッドの足元にキャサリンが立っていた。両手は後ろに組んでおり、ジョンは「ナイフを隠し持っている」「刺される」と直感。家を飛び出して友人に助けを求めた。
翌日、ジョンは自分と子供達にキャサリンが近づけないよう、接近禁止令を取得する手続きを始めた。心配して声をかけてきた再就職先の現場のボスにも、これまでキャサリンからされてきたことを全て打ち明け、「彼女に殺されると思う」と話していた。近所に住む仲の良い友人にも「もし、お前が出勤する時、俺の家に車があったら、すぐに警察に通報してほしい。彼女が俺を殺したってことだから」と頼んでいた。
そこまでキャサリンに恐怖心を抱いていたジョンだったのに、それでも彼女からのセックスの誘惑には勝てなかった。2000年2月29日夜、キャサリンは黒のランジェリーを持参してジョンの家に行った。酒を飲み、一緒にテレビを観て、激しいセックスをした。そして、疲れ果てて眠るジョンをキャサリンは襲ったのである。
殺害直後、彼女はシャワーを浴び、着替えて自分の車を自宅の駐車場へと移動させた。ジョンの財布から盗んだカードでATMから金もおろしている。真夜中に500ドルずつ何回かに分けて引き出している記録が残っているが、この金は現在にいたるまで見つかっておらず、彼女がどこかに隠したものと見られている。
その後、ジョンの家に戻ったキャサリンはと畜場で鍛えたテクニックをフル活用した。彼の皮膚を綺麗に剥ぎ取り、頭部を切り落とし、キッチンのコンロの上に置いた大鍋に入れた。背中の肉をそぎ取ってステーキにし、野菜を添えてジョンの2人の子供の名前を書いた紙を置き、子供たちに食べさせようとした。ジョンのもう1人の娘のことは気に食わなかったのか、用意はせず、代わりに彼女の写真をナイフでブスブスと刺した。そして子供達に、「もし、私があなたたちの父親を手に入れられなかったら、誰も手に入れられないってことなのよ」と置手紙を残した。