オーストラリア・ニューサウスウェールズ州アバディーンは、シドニーから北に向かって車で3時間ほどの小さな田舎町である。鉱山業と畜産業で生計を立てる人が多く、あまり豊かでもなく寂れているが、緑が多く静かでゆったりとした空気が流れる穏やかな町だ。

 そんなアバディーンで2000年3月1日、身の毛もよだつような事件が発覚した。

■惨劇の家

 きっかけは45歳の鉱夫ジョン・プライスの無断欠勤だった。「交際している女性に殺されるかもしれない」と怯えていた彼が出勤しないことを不審に思った上司が通報。さらにジョンの近隣住民も、出勤している時間帯なのに駐車場に車があることを不審に思い警察に通報していた。

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(画像=事件の起きた家。画像は「Daily Mail」より引用、『TOCANA』より 引用)

 駆けつけた警官たちが呼び鈴を鳴らしても応答はない。郵便受けから中を覗くと、家の中は血だらけだった。警官たちはすぐに裏玄関にまわり、ドアをこじ開けて中に入った。

 廊下につながるドアには布のようなものがかかっており、警官は反射的に左手でよけた。すると、その手にヒンヤリとした感触が伝わってきた。その左手を見ると、腕まで血がべっとりとついている。怪我はしていないはずなのにと警官は混乱した。

 まさかと思いつつ、警官はドアにかけられた布をもう一度見直した。それは明らかに人間の皮だった。剥ぎ取られた人間の皮がぶらんと下がっていたのだ。

 警官2人は恐る恐る家の中を進んだ。ランドリールームには頭部のない胴体が置かれていた。台所に入るとコンロには大きな鍋がかけられ、なぜかキッチンカウンターには特大ステーキが盛られた皿が2つ。

 家中が血だらけで、この家が恐るべきバラバラ殺人の現場であることは明白だった。緊張する警官らに、寝室から寝息が聞こえてきた。部屋を覗き込むと、ベッドにはジョンと交際している45歳の女性キャサリン・ナイトが横たわっていた。側には薬の空き箱がころがっており、オーバードーズで意識がないようだった。警官たちは彼女をとりあえず裏庭へと運び、救急車を呼んだ。家にいたのは、キャサリンとバラバラ遺体だけだった。

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(画像=ジョン・プライスとキャサリン・ナイト。画像は「Daily Mail」より引用,『TOCANA』より 引用)