■DV家庭に育ったキャサリン

 キャサリン・ナイトは1955年10月24日、アバディーンに誕生した。母親は夫と4人の息子がいる身ながら、夫の同僚と不倫・駆け落ちした女だった。不倫相手の男との間に生まれたのがキャサリンと双子の妹で、他に2人の息子も生んでいる。

 駆け落ちして4人も子供をもうけた割に、両親は不仲で、子供たちは八つ当たり的な虐待を受けながら育った。やがて家には、キャサリンの異父兄弟4人も引き取られた。彼らの世話をしていた義母が亡くなってしまい、面倒をみるあてが他になくなったからだ。母親は8人もの子供たちを抱え、金銭的にも精神的にも余裕がなくなり、常に子供達に暴力を振るうようになった。短気で癇癪を起こすキャサリンは特に叩かれた。それでもキャサリンは母親の愛を求め、その度に殴る蹴るの暴力を振るわれてきた。

 また、キャサリンの父親も酷いDV男だった。妻に暴力を振るった上で強姦のような夫婦生活を強要した。それを頻繁に目撃していた子供達の精神状態は当然のように荒れ、キャサリンは兄から性的虐待を受けるようになった。まさしく生き地獄だった。

 キャサリンは双子の妹とは仲が良かったが、学校にはあまり友人がいなかった。もともと短期な性格だったが、成長とともに急に怒り出して暴力を振るうことが増えて、学友から嫌われてしまったのだ。15歳まで学校に通っていたものの、ほとんど勉強しなかったため、読み書きもろくにできなかったと伝えられている。

 16歳になったキャサリンは、両親と同じく、と畜場で働くようになった。最初は掃除など簡単な仕事だけをしていたが、昇進してと畜した動物をさばくようになった。一匹丸々さばくスキルを身につけ、自分専用のナイフを与えられると、とても喜んでいたという。それからは長年、動物の皮を剥ぎ、内臓を取り出し、出荷用にさばき続ける日々を送った。