「民族の牢獄」の解体を求めてロシアの少数民族たちが来日

 昨年8月1日、東京永田町の衆議員会館大会議室において「第7回ポストロシア自由な民族フォーラム」が開催された。翌2日には都内のほかの場所で主としてオンラインによる会議が行われた。ロシアの反体制派、ウクライナ人活動家、ロシア少数民族たちが集まって、ロシア連邦解体(もしくはゆるやかな連邦)や独立へ向けての決意を語った意義は大きい。

※同フォーラム東京会議の動画(未編集全編)

 彼らが主張するロシアの「脱帝国主義化」「脱植民地化」が表す「脱」という表現だが、プーチン政権がウクライナ侵略の目的として掲げるウクライナの「非」ナチ化、「非」軍事化に対抗しているのではないだろうか。

 創設者マガレツキー氏に2人が呼応して、このフォーラムを推進してきた。ひとりは、2014年のクリミア併合にただひとり反対したロシアの元国会議員イリヤ・ポリョマノフ氏(ウクライナで亡命中)。ウクライナ側で戦うロシア国民などで結成された「ロシア自由軍団」の政治部門幹部だ。ロシア自由軍団は、数度にわたり越境してロシア内に侵入し戦闘を行っている。

 二人目は、チェチェン亡命政府のアフメド・ザカーエフ首相である。ソ連崩壊後の民族弾圧で最大の被害を受けているのがチェチェン人である。

 1994年末から2009年に至る二度のチェチェン戦争で、人口のおよそ20%が殺されているほどの殺戮だ。このチェチェン戦争こそ、現在進行中のウクライナ戦争の原点といえるだろう。帝政ロシア、ソビエト連邦、現在のロシア連邦をとおして少数民族は抑圧されてきた。これを指してロシアは「民族の牢獄」と呼ばれてもいる。

 その被害者である少数民族、ロシア反体制派、現在闘いの最中にあるウクライナ人の三者が一同に会し、その枠組みを継続させている意義は大きい。

 なお、ザカーエフ亡命政府首相は日本政府がビザを発給しなかったため、亡命政府のイナル・シェリプ外相が来日し会議に出席した。

ウクライナ戦争、ロシア崩壊のカウントダウンか…少数民族が独立運動を活発化
(画像=第7回ロシア後の自由な民族フォーラムが東京で開催された。2023年8月1日,『Business Journal』より 引用)