高山社跡
江戸時代から蚕は「天の虫」「運の虫」と言われ、養蚕は「お天気まかせ」「神様仏様頼み」で行われており、養蚕は大変不安定な産業でした。
高山社は高山長五郎が、蚕飼育方法を工夫研究し、教育体制を広め、その後の養蚕農家の基本形を育て作った所です。
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高山長五郎が確立した「清温育(せいおんいく)」は良質な繭の安定供給を可能にしました。
清温育の特徴は「喚起」と「温暖育」の2つです。
高山長五郎は、田島弥平が発明した喚起窓(越屋根)を改良しました。田島弥平旧宅では換気窓が1本に繋がっていますが、高山社では屋根の上に細かく仕切られた独立した越屋根があるため、部屋ごとに温湿度管理を可能にしています。
さらに、それまで奥州地方等で行われていた蚕室内を火鉢で温めるという温暖育を取り入れ、2つの蚕育法の折衷育によって蚕の安定育成を成功させました。
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※現在改修中で見ることができません
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※現在改修中で見ることができません
高山長五郎が清温育の完成にこぎつけるまでなんと6年もの歳月を要しました。それは正に失敗と苦難の連続でした。
その苦難に挫けなかったことももちろんですが、高山長五郎のすごいところは、苦難の末に完成させた清温育法を独り占めにせず、教えを乞いにきた農家の人々に周りに広く伝えたことです。彼の座右の銘は「国利民福」でした。
長五郎は57歳で逝去しますが、彼の意志は一番弟子の町田菊次郎に受け継がれました。
その後、町田は明治時代では全国唯一の私立甲種高山社蚕業学校を創立し、教育に力を注ぎました。その学校では養蚕教育だけでなく一般教養(生物学や英語など)も教えたため、卒業生は養蚕業だけでなく実業界へも羽ばたいていきました。
高山長五郎の目指す「国利民福」はこうして実現に向かっていったのです。
高山社跡でぜひこの物語に耳を傾けてみてください。きっと感動します。
また高山社跡の周りは竹林など自然がとても豊かで居るだけで気持ちよくなる空間です。春の桜、秋の紅葉も見事だそうです。
ぜひ、ご自身でその心地よさを感じてみてください。
荒船風穴
荒船風穴は自然の冷風を利用して蚕種(蚕の卵)を貯蔵することにより、蚕の飼育回数を増やし、繭の増産に貢献しました。
そして、日本の近代化(郵便、鉄道、私設電話)の最新技術や情報伝達手段を導入し、全国的に展開しました。
荒船風穴は山の上方の岩が崩れ体積した地形で、風穴の中に氷雨が入って氷柱が出来、そこを吹き抜ける風が冷やされます。これにより、夏の外気30度の風が風穴内300mを吹き抜ける間に氷点下近くまで冷やされます。この冷風貯蔵を通して、孵化の安定化と時期調整を可能にしたのです。
文字だけではわかりにくいと思いますので、風穴のしくみは以下の群馬県公式サイトの図をご覧ください。
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荒船風穴は冬季(12~3月)閉鎖しているため近くまで行けなかったのですが、下仁田町歴史館では1年中荒船風穴の概要を知ることができます。
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風穴跡には蚕種を貯蔵する小屋が建っており、下仁田町歴史館では当時の様子をジオラマで見ることができます。
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養蚕に関する工具なども展示されており、ぜひ見学をおすすめします。
現在も自然に発生する冷風を体験するポイントが遊歩道上にあります。
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風穴から吹いている冷風で枯れ枝がわずかに揺れる姿を動画でご覧ください。
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荒船風穴は説明を聞いただけではなかなかわかりにくいかもしれません。場所も山の中腹にあり、町から離れているのですが、ぜひ現地で歩いて自然の凄さを体験してみてください。
秋には紅葉が見事だそうです。