2024年2月、背中を負傷し今季絶望

本インタビューを実施した翌日、痛ましいニュースが入って来た。坂元が空中戦で負傷し、病院に搬送されたのだ。具体的な怪我の状態については公式発表されていないものの、今シーズン残り全試合を欠場することがクラブから発表された。

坂元を欠いたコヴェントリーは、翌日のFAカップ5回戦でチームメイトが坂元のユニフォームを掲げるゴールパフォーマンスをするなど彼の不在を惜しむ光景が見られた。現地サポーターからも大人気の坂元。筆者の取材に対しクラブの広報を通じて彼からコメントが届いた。

「今は痛みも少しずつ落ち着いていて、自宅で安静にしています。しばらく安静にして、しっかり治したいと思っています。重傷にならなかったのは幸運だったので、また来シーズンのスタートから活躍できるように準備していきます」


あとがき

坂元への取材を始めてからというものの、会うたびに驚かされる選手だとつくづく感じる。シーズン当初は守備の負担が多いウィングバックでの起用が多く、なかなか攻撃面で貢献できない日々が続いたものの「攻撃も守備もできればトップ・オブ・トップに近づける」とポジティブな姿勢を見せ、上を向いていたのが印象的だった。その後、ウィングやサイドハーフで起用されるようになると本来の攻撃力を大いに発揮し、サポーターやチームメイトの心を掴んでいったのも彼の実力そのものだろう。

サッカー選手としての夢を質問した際、正直なところ「チャンピオンズリーグに出場したい」「W杯で優勝したい」「ビッグクラブに行きたい」と、果てしない野望が返ってくるのではないか。そうぼんやりと考えていたが、坂元の「このチームでプレミアに昇格したい」という地に足をつけた言葉に彼の謙虚さとサッカー選手としての責任感の強さが見えた。

インタビュー中はチームメイトたちが部屋を覗き込み、取材を受けている坂元をからかうようにイジると彼も笑い返していた。その光景から、コヴェントリーで彼がいかに“愛されキャラ”なのかがよく分かった。

今季絶望ということは、坂元のサッカー人生のなかでも間違いなく大きな怪我なのだろう。それでも大きな心配は不要なはずだ。彼はどんな困難からも必ず這い上がり、活躍できることをすでに証明してきたのだから。