イングランド2部のチャンピオンシップで戦う若きサムライMF坂元達裕(コヴェントリー・シティ)。かつてFC東京ユースに上がれなかったサッカー少年は、いまや日本代表に選ばれ海外でプレーするまでに成長している。しかし、ここまでの道のりは決して平坦なものではなかった。
コヴェントリーでの活躍で、今や地元サポーターから愛されるほど現地ファンの心を掴んでいる坂元だが、2月23日に行われたリーグ戦(対プレストン・ノースエンド0-3)で今季絶望の大怪我を負った。
この独占インタビュー後編では、セレッソ大阪への移籍、ベルギーやイングランド移籍の裏側、そして大怪我を負った現在の心境についてお届けする。
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セレッソ大阪への移籍と清武弘嗣との出会い
モンテディオ山形(J2)での活躍が認められた坂元は、2020年にJ1のセレッソ大阪に完全移籍。Jリーグデビュー年での移籍としては異例の個人昇格だった。C大阪に加入した当時の経緯について坂元に訊いた。
坂元:セレッソは普通にオファーをいただいて、当時は他の2チームくらいからもオファーをもらってて迷っていたんですけど、セレッソには結構熱量が高く誘ってもらって。そこで決めました。
ー自身初のJ1はどうでしたか?
坂元:(当時のミゲル・)ロティーナ監督のとき、とても楽しかったです。監督が守備もすごく気を遣って、立ち位置とか練習の中でちょっとのズレとかも修正してくる監督でした。僕はそれがすごく良かったと思ってて、僕自身守備もしっかりやるっていうのが武器だと思っていたので、そこでしっかりと守備ができることもアピールしつつ、自分が攻撃しやすい状況をチームとして作り出してもらえました。1年目はすごくやりやすくやらせてもらっていましたね。
ーロティーナ監督は堅守のイメージが強いですが、学んだものはありますか?
坂元:本当にわずか数歩の位置で修正されるので「ここまでする必要あるのかな?」ってその時は思ってましたけど、でも結果的にそのちょっとのズレがすごく大事だっていうのは今になって分かります。それが結果として(リーグ戦)4位に終わり、いい順位で終わることができたので、良い監督だったなと思っています。
ーしかし、セレッソ大阪の1年目では2得点でした。
坂元:1年目は2点しか取れてないですけど、チャンスはすごく作れていた印象があって。逆サイドでボールを回して僕の方に飛ばして、そこから僕が1対1で勝負するっていうのがチームの形になってたりもしたんで、すごくやり易くしてもらってました。周りの選手もみんなすごく上手かったんで。
キヨくん(清武弘嗣)もいて、あの人がボールを持てますしパスも出せるので、僕のところに基本的にいつもフリーでボールが持てる状況を作ってもらってたんで。キヨくんだけじゃなくて周りの選手を含め、1年目は恵まれた環境でやらせてもらっていたのが印象です。
ー清武選手との思い出はありますか?
坂元:もう、キヨくんは一番尊敬している選手で思い出もいくらでもあるんですけど、本当にあの人は人間性がとても良くて。誰にでも優しくて、でもやる時はしっかりやる。本当にお手本みたいな選手なんで、そのなかでプレーもすごく尊敬できます。大好きですね、キヨくんは。
基本的にいろんなアドバイスをもらっていましたけど、仕掛ける時はガンガン仕掛けてボールを失っても良いから、っていう風にはキヨくんだけじゃなくてチーム全体として監督からも言ってもらっていました。
ーセレッソ大阪在籍中の2021年には日本代表にも選出されました。
坂元:僕が(C大阪での)2年目に選んでもらって、そのなかで海外でやっている選手たちと練習とかもやらせてもらいました。本当に日本と比べ物にならないくらいの強度で。プレッシャーも早いし、ゆっくりボールを持っている時間もない。フィジカルもすごく強くて。
そのなかで僕が一番印象に残っていたのが守田(英正)さんなんですけど、あの人の強度とかプレスの掛け方とかが尋常じゃないなという印象があります。もちろん周りの選手も日本で普通にやっているよりもレベルが一段上のスピード感でやってたんで「海外でやってる選手たちは、こういう中でこれが当たり前でやっているんだ」っていうところに衝撃を受けました。
それまでは海外に行きたいとかこれっぽちもなかったんですけど、そこからチャレンジしたいなっていう思いが芽生え始めて、海外移籍することに決めましたね。
ー海外移籍を考えていなかったなんて意外ですね。
坂元:いやー、考えたことなかったですね。僕、世代別代表なんか全く入ったことなかったですし、海外に行けるレベルの選手ではないって自分で思っていたんで。
僕の性格的にも内気な性格なんで、海外に合ってないだろうなっていう風に個人的にも思ってました。ただ、代表を経験して「いや、でも成長したいなら行くべきだな」って感じてきました。