個人事業主契約の形式で労働者の権利を縛る

 このまま進めば、全国で約3万人の個人事業主が契約終了となりそうだが、数万人規模のケースは今回が初めてとなりそうだ。

「ヤマトさんが個人事業主契約を始めた20数年前は、労働者性ということについてあまり知らない中小企業がよくそういう契約を使っていました。テレフォンアポインターや出会い系サイトの電話担当者などがそうでした」(朝倉さん)

 2008年にはミシン最大手JUKIの子会社に特定商取引法違反で業務停止命令が下り、このときも正社員含めて大量の販売員が契約終了となったが、ヤマトのような規模ではなかった。本来は労働者性がある人たちを個人事業主扱いで契約し、労働者を安い金額で使い、使い捨てにする。朝倉さんはヤマトだけの問題ではないと考えている。

「労働者契約だということがはっきりした場合、労働組合法上の問題だけでなく、労働基準法上の問題にもなります。そちらに照らし合わせても労働者性があると私たちは考えており、そちらがはっきりすれば契約期間5年で無期労働契約に転換されなければなりません。労働契約法上の労働者だということになれば、契約終了(=解雇)できないことになります。個人事業主として契約する形を使い、そうした労働者の権利を行使できなくしていますので、ネックはそこにあります」

 朝倉さんらは都労働委員会へ救済の申し立てを準備している。