■孤独の中で育った狂気
キャシーを失ったスティーブンはアパートに引き籠るようになり、孤独を深めていった。口数少なく近隣住民がドアをノックしても出ないことも多かった。この頃の彼は、アパートの中では現実逃避するため、薬物を乱用していたと見られている。スティーブンのアパートの中には殺人に関する本が山積みとなっており、壁には日本刀が飾られ、複数のナイフ、斧、2機のクロスボウなどの武器コレクションが並べられていた。
また、スティーブンは爬虫類を飼うようになった。動物好きな近隣住民が彼の部屋を訪れた際には、大きなトカゲが生きたネズミを引き裂きながら食べているところを、スティーブンがニヤニヤしながら眺めているのを目撃している。さらに、彼の数少ない友人男性は彼の家に招かれた時、スティーブンが目の前で、生まれたばかりのネズミの赤ん坊を美味そうに食べるのを見て狂気を感じ、以来、疎遠になったと証言している。
34歳になったスティーブンはブラッドフォード大学の博士課程に入学し、殺人や連続殺人に関する犯罪学を学ぶようになる。バイトもせず無職だった彼の趣味は、インターネットで暴力的なポルノをダウンロード収集すること、そして、MySpaceにフェン・パライアというユーザー名で、連続殺人鬼についての書き込みをすることだった。ノンフィクションとフィクションが混じり合った文章を綴っていた彼は、ネット民の「気持ち悪い!」という反応を楽しんでいた。

上げ、電話をかけまくり大量の留守電を残すというストーキング行為を毎日のようにしていたのだ。恐ろしい言葉で脅迫する留守電を残す一方で、愛していると優しい言葉を残したり、謝罪の言葉を残すこともあった。
キャシーは、たくさんの留守電を聞いたが、一番恐ろしかったのは、ヒステリックに笑いまくる留守電だったと明かしている。このヒステリックな笑い声を留守電に残した夜、スティーブンは被害者の一人を殺害したのだった。