■犯罪に魅せられて

 出所したスティーブンはマニングハム市のアパートに入居し、ブラッドフォード大学に進学、心理学を専攻した。成績優秀な子供だけが入学を許されるグラマースクールを卒業していたため、大学には難なく進学できた。大学ではごく普通の生徒だったが、社交的ではなく友人はほとんどいなかった。

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(画像=画像は「Murderpedia」より引用,『TOCANA』より 引用)

 20歳の時、スティーブンはエアガンを不法に所持していたことで100時間の社会奉仕を命じられる。また翌年には、特に理由もなく若い女性の首にナイフを当てたことで逮捕され、禁固2年の刑に処されている。この時に受けた精神鑑定では、強迫観念のある精神病性統合失調症だという診断が下された。

 ランプトンにある重警備の病院で治療を受けたが、最終的に精神病ではないとされたスティーブンは、出所後、連続殺人鬼に関する本を買いあさるようになった。中でも切り裂きジャック、ムーアズ殺人事件、ジョン・ヘイグ、ピーター・サトクリフに関する本を大量に購入、熱心に読んだ。刑務所を出入りしながらも大学には在籍し、心理学を学び続け学士号を取得した。

 29歳の時、スティーブンはキャシー・ハンコックという女性は彼と交際を始める。キャシーは、インテリで紳士的で、長髪を束ねたハンサムガイのスティーブンに夢中になった。しかし、彼が優しかったのは最初の頃だけで、同棲してしばらくすると、キャシーに家族や友人と連絡を取ることを禁じるなどの束縛が始まった。用事がある時以外は家から出ることも禁じ、彼女が外出する時は必ず同行した。

 キャシーと連絡が取れず心配した家族から通報を受けた警察が、2人が同棲するアパートを訪問したこともあった。しかし、警察官と話すキャシーの左手をスティーブンはきつく握りしめ、無言の脅迫をかけた。スティーブンを恐れ、精神的に支配されていたキャシーは、警察官に笑顔で「大丈夫です」と答えるしかなかった。

 スティーブンは次第に本性を表していった。キャシーの見ている前で子犬の尻尾や耳を切断したり、重しの石を入れたバッグに猫を入れて運河に沈めたりなど、子供時代の動物虐待癖が再発し、彼女を怖がらせた。

 虐待はキャシーにも向けられるようになり、ささいなことから「罰」として彼女の足をナイフで刺したり、唇を裂いたり、鼻を骨折するまで顔を殴ったりするようになった。そして、ある日、紅茶を飲み干したキャシーにスティーブンは大笑いしながら「お前、死ぬよ」と嬉しそうに言い放った。紅茶には大量の薬が入れられており、具合を悪くしたキャシーは命からがら病院に駆け込み入院。退院するタイミングで、家族の助けを借りてスティーブンから逃げた。日常的に受けていたDVを受けていた彼女は、スティーブンの赤ん坊も流産しており、このままだと赤ん坊だけでなく自分も殺されると確信し、ついに逃げる決心をしたのだった。