■ファミリーの凶行は続く
報道を聞いてチャールズは酔いしれた。自分を裏切った金持ちたちの命をいとも簡単に奪い、世間に大きな衝撃を与えることができたからだ。
チャールズはこの勢いに乗り、ロサンゼルスの別の高級住宅地区に住む金持ちを成敗しようと決心した。次に狙いをつけたのは、以前、女性信者たちとパーティーに参加した家の隣の邸宅に住んでいたスーパーチェーン店オーナーであるレノ・ラビアンカと妻ローズマリー。2人と面識があったわけではなかったが、パーティーに参加した時、隣の豪邸をじろじろ観察しどこにドアがありどこに窓があるかを把握していたから「やりやすい」と思ったのだ。

シャロン邸で殺人を犯した翌日、チャールズはテックス、パトリシア、レスリー・ヴァン・ホウテンとドライブを楽しんだ後、ビアンカ夫妻の邸宅に車を停めるよう命じた。まずチャールズが家の中に入り、帰宅したラビアンカ夫妻を縛り上げた。そして、怯える2人に「大丈夫だ。ただの泥棒だから。俺はおまえらに危害は加えない」そう告げた。そして、車で待つ3人のところに戻り「やれ」と命じた。
パトリシアとレスリーは夫人を寝室で殺そうと連れ込んだ。その瞬間、テックスに殺されたレノの最期の叫び声が聞こえた。2人は取り乱す夫人に手こずっていたが、業を煮やしたテックスが寝室に入ると、夫人にナイフを突き刺し床に押し倒した。テックスは、レスリーにナイフを渡し「お前もやれ」と命じた。レスリーとパトリシアは必死で夫人の体にナイフを突き刺した。
3人は遺体の血を使って、壁に「Death to Pigs(強欲な奴らに死を)」「Rise(甦れ)」冷蔵庫に「Healter Skelter(Helter Skelterの綴り間違い)」と書いた。さらに、冷蔵庫からチョコレートミルクとスイカを取り出し食べたのである。

肉切り用の大きな包丁で首を切り裂かれ、その包丁を腹部に突き刺されたレノの遺体。頭に枕カバーを被され、電気スタンドのコードを首に巻かれたローズマリーの遺体。そんな家の中で、殺人を犯したばかりの3人はもくもくとお菓子と果物を食べてから現場を後にした。夫婦の遺体には合計して67つもの刺し傷があった。