市場全体は好調のなか、より特徴を打ち出せるか

 カフェを含む「喫茶事業の市場規模」は、全体的には市場の伸びが見込まれるが、業態によって異なる。富士経済の調査によれば、2023年の市場は「1兆3653億円(前年比105%)の見通しだ(出典:富士経済2023)。

 最も市場が大きい業態「喫茶店・コーヒー専門店」(※1 フルサービスチェーン店や個人経営の喫茶店)は全体的に伸び悩み、その次に大きい「コーヒーショップ」(※2 セルフカフェチェーンや個人経営のセルフカフェ)は拡大を見込む。つまりやり方次第だ。

※1と2:各区分は富士経済の表記に基づく。( )内は筆者補足

「果実屋珈琲」は「今のファミレスに物足りなさを感じる客層」にも訴求した。昔のファミリーレストランは少し上質感があり、ドリンクバー(セルフカフェ的な機能)もなく、フルサービス提供を受けながら過ごせる大人にも居心地のよい空間だったからだ。

 一方の「オアシス」は、立地によって異なり、ビジネス客から観光客まで幅広く訴求する。今後の出店戦略としては、「ドーミーインレストランのOASIS化」がテーマになっていくという。同レストランでは宿泊客向けに無料提供する「夜鳴きそば」(夜の短時間営業)や朝食メニュー(朝の営業)が人気だが、昼間は開放していない。営業時間を拡大して一般利用客に訴求していく手法だ。

 マーケティングや商品開発、業態開発の現場では「成熟市場でもやり残したことがある」という共通認識を持つ。どんな差別化で新境地を開くか見ていきたい。

(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

提供元・Business Journal

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