従業員エンゲージメントの調査・測定方法

従業員エンゲージメントは従業員の心理的なものであり、目には見えません。企業はどのように従業員エンゲージメントを把握すれば良いのでしょうか。調査・測定方法をご紹介します。

従業員エンゲージメントツール・サーベイでの調査

従業員エンゲージメントを調査・測定する1つ目の方法は、従業員エンゲージメントツールやサーベイを使うことです。通常、従業員の主体性は数値で表すことができませんが、特化したツールを導入すればわかりやすく数値化できます。

定期的に調査・測定を行うことで、目ではわかりにくい従業員の心理的変化を逃さず、何らかの対策・対応することが可能です。

初期費用や月額費用がかかるものの、従業員エンゲージメントを適切に把握し、内容を人事制度に反映させたい場合は導入を検討してみてください。

参考:モチベーションクラウド

アンケート調査

従業員エンゲージメントを調査・測定する2つ目の方法は、アンケート調査です。費用を抑えたい場合におすすめの方法です。

手軽に実施できる一方で、アンケート項目を設定したり、収集した回答をシートにまとめたりと管理には手間がかかります。従業員のエンゲージメントを測れる質問設計になっているか、従業員に負担がかからないような質問数になっているかなど実施までに徹底した準備が必要です。

従業員エンゲージメントを高める・向上させる7つの施策

従業員エンゲージメントの測定方法を定めたら、実際に従業員エンゲージメントを高める・向上させるための取り組みを行います。企業がまず実施したい7つの施策をご紹介します。


従業員エンゲージメントを高める・向上させる7つの施策



  • 施策1.企業理念・ビジョンを浸透させる

  • 施策2.納得できる人事評価制度を整える

  • 施策3.適切な人事配置や、チームビルディングを実施する

  • 施策4.キャリア開発を支援する

  • 施策5.適切なフィードバックや1on1を実施する

  • 施策6.社内コミュニケーションを活性化させる

  • 施策7.ワークライフバランスを整える



施策1.企業理念・ビジョンを浸透させる

従業員エンゲージメントを高める・向上させるための1つ目の施策は、企業理念・ビジョンを浸透させることです。まずは従業員の理解度と共感度の向上を目指しましょう。

自社の企業理念やビジョンを浸透させる取り組みのことを、通称インナーブランディングと呼びます。インナーブランディングの方法は企業によってさまざまです。例えば、社内報の作成やワークショップの実施などが考えられます。

従業員が企業理念やビジョンに触れる機会を増やし、徐々に理解や共感を促していきましょう。

施策2.納得できる人事評価制度を整える

従業員エンゲージメントを高める・向上させるための2つ目の施策は、納得できる人事評価制度を整えることです。

Job総研による調査によれば、人事評価制度に納得していない人の割合は高く、多くの人が不満を持っていることが分かっています。評価に納得できずモチベーションが下がる方が多いため、納得できる評価制度を整えることは従業員エンゲージメントを高めるうえで非常に重要なポイントと言えます。

例えば、明確な評価基準を策定する、高いスキルを持つ従業員を評価者にし、的確なフィードバックを実施するなどが考えられます。貢献度に応じた報酬を明確化することも、公正な評価制度に欠かせない要素のひとつです。

参考:PR TIMES「Job総研による『2023年人事評価の実態調査』を実施 8割が評価に不満 成果と報酬の不均衡で賃金上がらず」

施策3.適切な人事配置や、チームビルディングを実施する

従業員エンゲージメントを高める・向上させるための3つ目の施策は、適切な人事配置やチームビルディングの実施です。

従業員一人ひとりの能力や適性を把握し、成果を出しやすい業務に取り組んでもらうことで、モチベーションの維持や業績向上が期待できます。適切な人事配置により、能力を正当に評価してもらう機会も増えるため、評価制度への不満も減らすことができます。

人材を適切に配置する際には、チームビルディングも意識しましょう。チームビルディングとは、チーム内で個々の能力を最大限発揮し、目標を達成できるチームを作るための取り組みのことです。チームビルディングにより目標を達成できればチーム全体が活性化され、さらなる高い目標に向かって一人ひとりがイキイキと活躍できるようになります。

施策4.キャリア開発を支援する

従業員エンゲージメントを高める・向上させるための4つ目の施策は、キャリア開発の支援です。

キャリア開発の支援は、従業員の主体的な成長に繋がります。雇用形態の変化や少子高齢化による慢性的な人材不足、労働価値観の多様化などにより、エンゲージメントの向上に繋がるキャリア開発の支援の需要が増しています。

日本では特に、中堅・リーダー層のキャリア開発が遅れていると言われています。プレイヤーとしての体系的な学習はしてきているものの、リーダーやマネジメントに関する教育は受けていない従業員が多く、自身のキャリアのビジョンを描きにくくなっているケースが多くあります。

企業を牽引する中間層や若手など、さまざまな立場の従業員のキャリア開発の支援制度を整備し、従業員エンゲージメント向上を目指しましょう

施策5.適切なフィードバックや1on1を実施する

従業員エンゲージメントを高める・向上させるための5つ目の施策は、適切なフィードバックや1on1の実施です。

従業員の成長には、上司からの適切なフィードバックが必要不可欠です。管理職の多くはフィードバックが重要だと理解しているものの、部下の反応が不安だったり、適切な伝え方がわからなかったりなどで躊躇しているケースが少なくありません。

しかしそれは管理職側の都合であり、部下は適切なフィードバックや定期的な1on1の機会を望んでいることがほとんどです。そのためにはまず、上司のフィードバック能力を高める必要があります。研修やワークショップなどを行い、管理者のフィードバック能力を高めましょう。

上司が適切にフィードバックできれば部下のモチベーションが維持されやすく、従業員エンゲージメントが高い状態を継続できます。

施策6.社内コミュニケーションを活性化させる

従業員エンゲージメントを高める・向上させるための6つ目の施策は、社内コミュニケーションの活性化です。

従業員同士で信頼関係が築けていると、安心した状態で業務に取り組むことができます。業務の滞りやハラスメントの発生も防げるため、ストレスのない環境で自身の能力を最大限発揮することが可能です。

社内コミュニケーションを活性化させるには、定期的なミーティングの開催や食事会の実施、社内チャットの活用などが効果的。従業員同士で感謝を伝え合う「サンクスカード」の導入も検討してみてください。

施策7.ワークライフバランスを整える

従業員エンゲージメントを高める・向上させるための7つ目の施策は、ワークライフバランスを整えることです。

休みが十分に取れなかったり、毎月の残業時間が長かったりすると従業員は企業に対して不満を持ちます。貢献意欲が薄れ、主体的・自主的な行動も減少してしまいます。

ワークライフバランスを整えるには、有給取得しやすい業務環境の整備やフレックスタイムの導入、残業時間の見直しなどが効果的。従業員が仕事以外の時間も充実させられて、自分らしい働き方ができていると感じられる環境づくりを目指しましょう。