280馬力自主規制値に到達したエボIV(1996年・CN9A)
第2世代(5代目ランサーベース)では初、そして5ナンバー枠では最後のランエボで、ついに当時の国内乗用車の自主規制値である最高出力280馬力に達しました。
そのほか、現在までの三菱車で競技車に限らず、電子制御4WDの要としてAWC(オールホイールコントロール)へ発展していくAYC(アクティブ・ヨー・コントロール)が、一般向けのGSRへ初搭載(競技ベース車のRSには非搭載)。
「最後にして最強の5ナンバーランエボ」ということで、3ナンバーワイドボディには抵抗がある、あるいは駐車場へ物理的に止められない一般ユーザー向けにはGSRが根強い人気のあるモデルでした(小型軽量という意味で競技ユーザーが好んだのはエボIIIのRS)。
ワイドボディで舗装路性能を増したエボV(1998年・CP9A)
小型軽量・パワフルでグループAマシンとしては最強クラスの実力となった「ランエボ」ですが、パワフルで現実的な価格で購入可能な大衆車ベースの4WDターボなど日本以外ではほとんど作っていないという状況から、WRCでは新たに「WRカー」が導入されます。
これは最小生産台数や改造範囲がグループAより大幅に緩和されたものでしたが、市販者へのフィードバックへこだわる三菱ではグループAでの参戦継続を決断、ベース車よりワイドフェンダーでワイドトレッド化&タイヤサイズ拡大した3ナンバーボディとします。
これで舗装路でも1G旋回が可能と言われるほどコーナリング性能が向上、レースでも活躍できる実力を発揮して、市販車ベースの競技ではライバルのスバル インプレッサWRXへの差を次第に広げていきました。
しかし、ベース車からの相違点が増えすぎてもはや別車のようになり、結果的に技術のフィードバックという形でその後の市販車開発に好影響を与えたのは確かですが、ランエボそのもの以外の販売促進という意味では一層厳しくなっていきます。