大切なのは最後まで走り切ること。走り切れる場所を選ぶのは、本人に任せたい

 最後に、進学塾を選ぶ際のポイントや考え方について、両氏に聞いた点をまとめておこう。最大のポイントは、必ず、できれば何回も体験会に参加してみること。小学生は大人ほどの体力や精神力がないため、学びのスタイルやリズム、ボリュームなどが合うかどうかが、中学受験を最後まで走り切れるかどうかの大きな分かれ目となる。そこで、子息にいろんな塾を体験させて、合う合わないを本人に判断させることが得策だろう。塾によって雰囲気はかなり違うので、最後はこどもの直感に任せたい。保護者としてはどうしても合格実績が気になるが、合わない塾に入れて子息が脱落してしまっては元も子もないからだ。

 当然、学費も重要だ。仮に小4の1年間でかかる100万円は問題ないとしても、受験直前となる小6になって、1年に150万円以上かかることまで見通せているだろうか。卒塾までにいくらかかるかをしっかり確認したうえで、塾を決める必要がある。

 保護者が最後まで伴走しきれるかどうかも重要なポイントである。予習・復習の監督のほか、小4で週2回の通塾が、小6になり週4回になれば送迎の負担も大きくなる。保護者がするべきことは一通りクリアにしておきたい。場合によっては、教室型の塾よりサポート体制万全な個別指導塾のほうが伸びる子もいることは覚えておこう。

 客観的に子息の能力や適性を判断するクールな視点も忘れてはならない。中学受験をする家庭では、低学年のうちから公文式や学研などの教室に通う場合が多く、その段階でほかの子と比べて我が子の学力の優劣はわかるもの。さらに家で本を読む習慣もなく、計算力が特に優れてもいない場合、無理をして大手塾に固執することが得策でない可能性は高い。

 最後に、両氏に中学受験に臨む保護者へのメッセージを聞いた。

「大事なのは、家族で話し合って学びについての価値観を統一すること。これが受験校選びにも、塾選びにも共通するベースとなります。そのうえで、ぜひともご子息の意見を尊重していただきたい。塾や受験校を自分で決めたという経験が、受験前の勉強の粘りや挫折からの立ち直りにつながります。中学受験を合格するための詰め込み期間だけでなく、自立するための良い経験としたいものです」(安田氏)

「未来は常に、保護者が体験していない世の中です。難関校に合格することはもちろん素晴らしいことですが、中堅の私立中高一貫校や公立中高一貫校でも、学び方を工夫し、海外大学に進学する例も出てきています。大学ではAO入試や推薦入試を増やす方向で、一般入試の枠は減っていくでしょう。難関校の価値が下がる可能性とともに、英語学習や習い事などの価値が上がる可能性もあります。難関校合格=幸せという図式を、1回疑ってみる必要があるかもしれません」(北氏)

(文=日野秀規/フリーライター、協力=安田理/安田教育研究所代表、北一成/首都圏模試センター・取締役教育研究所長)

●安田理/安田教育研究所代表
東京都出身。大手出版社にて雑誌の編集長を務めた後、教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年に安田教育研究所を設立。教職員研修・講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。各種新聞・雑誌、ウエブサイトにコラムを連載中。

提供元・Business Journal

【関連記事】
初心者が投資を始めるなら、何がおすすめ?
地元住民も疑問…西八王子、本当に住みやすい街1位の謎 家賃も葛飾区と同程度
有名百貨店・デパートどこの株主優待がおすすめ?
現役東大生に聞いた「受験直前の過ごし方」…勉強法、体調管理、メンタル管理
積立NISAで月1万円を投資した場合の利益はいくらになる?