コスト削減の企業努力

 大幅な値上げを行っていないものの22年8月期は国内事業の営業利益黒字化を達成した。23年8期第3四半期においては原材料費のさらなる上昇が続くなか、国内事業の営業損失は15.8億円に留めており、全社では黒字となっている。値上げをせずともコスト削減によって何とか黒字を出そうとする企業努力が垣間見える。製造直販業(SPA)としてすでに効率化を果たしているサイゼリヤにおいて、どのようにしてコストを下げているのだろうか。

 メニューにおいては、使用食材や盛り付けを簡素化する、あるいは比較的高利益な新商品を投入するといった手法をとっている可能性があると稲田氏はいう。他の飲食チェーンでは簡素化や容量を小さくするステルス値上げが消費者の不満を買う例が見られるが、サイゼリヤではそれを上手く見せることができているようだ。例えば「フレッシュチーズとトマトのサラダ」という商品名で提供されていたカプレーゼ、現在ではトマトがなくなりチーズだけが乗った「バッファローモッツァレラ」として提供されているが、シンプルさがむしろ好印象を与えているという。