築年数が長くなると成約価格が格段に安くなる

 にもかかわらず、新規登録価格と成約価格の平均値をみた場合に逆転現象が生じている要因としては、いくつかの点が考えられます。第一には、市場が過熱化しており、値引き幅が極端に小さくなっている物件や、値引きなしで売れる物件が増えていることなどが要因になっていると点が挙げられます。実際、新築物件の供給が少ないエリアでは、かつての新築物件の相場価格より高値で取引される中古マンションが少なくありません。中古マンション相場のベースが底上げされているといっていいでしょう。

 第二の要因としては、新規登録物件と成約物件との間には、築年数の違いが大きい点が挙げられます。図表3にあるように、2022年度の実績でみると、新規登録物件の平均築年数は28.46年で、成約物件の平均は23.48年でした。新規登録物件は毎年半年から1年程度、築年数が長くなっていますが、成約物件はさほどでもなく、買主はできるだけ築年数が短く、状態の良い物件を求める傾向が強いことが分かります。

 東日本レインズの「首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年数帯別成約状況(2023年1月~3月)」をみると、首都圏の中古マンションの成約物件の平均価格は、「築21年~25年」は4648万円に対して、「築26年~30年」は3374万円と1000万円以上の違いがあります。さらに、築30年超では2318万円と一段と安くなるのです。この築年数の違いが、新規登録価格と成約価格の差の大きな要因になっているわけです。

今こそ築古マンションが売り時、値引きゼロで売却も…成約価格が売出し価格を上回る
(画像=『Business Journal』より 引用)