米株市場はますますの寡占化を促す
こうした状況の中で、2022年を通じて不振だったアメリカ株が今年に入ってAI銘柄を中心に一握りの巨大寡占企業が牽引するブル相場に転換したように見えるのは、決して危機が回避された証拠ではなく、むしろ危機の深化を示しています。
上段を見ると、今年5月25日までの時点でS&P500採用銘柄のうち、S&P500株価指数を上回る値上がりをしていたのは、たった29銘柄だったことがわかります。下段のいわゆるハイテク大手7銘柄を除くと、わずか22銘柄、サッカー2チーム分だけです。
また、アメリカ株は1990年代後半以降どんなに景気が悪くてもS&P500を上回る値上がりをするのは50~60銘柄台、景気がいいときには20~40銘柄台と、つねにほんの一握りの銘柄に牽引されていて、残る450近くの銘柄は足を引っ張っている構造だとわかります。
1998年の28銘柄、99年の30銘柄までアウトパフォーム銘柄が少なくなったとき、米株市場は2000~02年のハイテクバブル崩壊を迎えました。今年5月までの29銘柄というのも、かなり切迫した危険信号だと思います。
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編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2023年6月1日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。