<事例3i>BBCニュース 2023/03/07

■加害が明るみに……それでも崇拝され 日本ポップス界の「捕食者」

ジャニー喜多川氏は日本のポップカルチャー、日本のアイドル文化を作り上げた立役者だった。喜多川氏が創設した男性のみのタレント事務所「ジャニーズ事務所」は、人気男性アイドルグループを次々と世に送り出した。「チャート1位を獲得した歌手を最も多くプロデュースした人物」としてギネス世界記録にも認定された。「最も多くのナンバーワン・シングルをプロデュースした人物」、さらには「最も多くのコンサートをプロデュースした人物」にも認定されている。

一方で、喜多川氏には性的搾取の疑惑が、常につきまとっていた。しかも、密室でささやかれただけではない。全国的な報道機関が取り上げ、その一部は民事裁判で認定された。それでも、喜多川氏は晩年まで国の宝とされた。2019年に87歳で亡くなった後も、今なお崇拝されている。

(中略)

ジャニーズ事務所のタレントを起用すれば、視聴者も読者も広告費も稼ぐことができる。ジャニーズ事務所の若手グループを売り出せば、事務所との関係は良くなり、ジャニーズの大物人気スターの出演を確保しやすくなるかもしれない。一方で、ジャニーズ事務所や所属アイドルについて否定的なことを言えば、逆の効果が待っている。ジャニーズ帝国からはじき出され、帝国が生み出す収益の恩恵を受けられなくなる。

ほとんどの日本メディアが、喜多川氏の問題行為について触れることすらしなかったのは、そのためかもしれない。

(中略)

東京高等裁判所は2003年7月の判決で最終的に、文春の報道について、「セクハラ行為」に関する記事はその重要な部分において真実であることの証明があったと認めた(ただし、「少年らに対し、合宿所などで日常的に飲酒、喫煙をさせている」という記事の主張は、事実と異なると裁判所は認めた)。ジャニーズ側は上告したものの、最高裁は2004年2月に上告を棄却。東京高裁判決が確定した。

だがこの判決も黙殺された。名誉毀損訴訟は刑事裁判につながらなかった。喜多川氏は訴追されることなく、亡くなる2019年まで、ジャニーズ事務所の社長を続けた。

さらに元ジャニーズタレントの岡本カウアン氏がジャニー喜多川社長の性加害を証言する衝撃の告白をします。

<事例3j>弁護士ドットコム ニュース 2023/04/12

■ジャニー氏の「性加害」証言、沈黙してきたメディアに責任は? NHKディレクターの問いかけ

元ジャニーズJr.の岡本カウアンさんが、ジャニーズ事務所の創業者、故ジャニー喜多川さんから性被害を受けたと告白した4月12日の記者会見では、ジャニーさんの一連の問題を報じない国内のテレビや新聞など大手メディアの問題もまたクローズアップされた。

岡本さんは会見場所として、日本外国特派員協会(東京・丸の内)を選んだ背景として「(日本の大手メディアは)取り上げないだろうと覚悟して話しています」と述べた。

そんな中で取材に訪れたNHK報道局のディレクターが「もし大手(メディア)が報じていたら、ジャニーズ事務所に入所していなかったか?」などと問いかける場面があった。

岡本さんは「たぶんなかったんじゃないかな」と回答した。沈黙していた大手メディアに何か変化はあるのか。

この日の会見で、岡本さんは中学3年生(15歳)だった2012年から2016年までジュニアとして活動したと説明。岡本さんによると、入所翌月にジャニー氏から、初めて性的行為をされて、退所まで計15?20回あったという。

ジャニーさんによるジュニアへの性加害をめぐっては、1999年に『週刊文春』が大きく報じた。ジャニーズ事務所と文春が裁判で争い、東京高裁がその重要な部分で真実であることの証明があったと認めている。

これが事実とすれば、同性の未成年に対して、優越的な立場を持つ者が行った性加害の告白です。しかしながら、日本のテレビ局は沈黙を続けたのです。

<事例3k>The Audience 2023/04/13

■『DayDay.』『羽鳥慎一モーニングショー』『あさイチ』でジャニー喜多川「性加害」言及…岡本カウアン告発の行方

12日午前、日本外国特派員協会が主催する記者会見で、元ジャニーズJr.の岡本カウアンさんが、ジャニーズ事務所創業者で前社長であるジャニー喜多川さんからの「性被害」について告発した。(中略)

13日朝の情報番組、山里亮太さんと武田真一さんがダブル司会の『DayDay.』(日本テレビ系)、羽鳥慎一さんが司会の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)、博多華丸さん、博多大吉さん、鈴木奈穂子アナウンサーがキャスターを務める『あさイチ』(NHK)での言及は一切なかった。

岡本さんの12日の会見場には、NHKスタッフ、日本テレビとテレビ朝日のカメラの姿が確認されていたにもかかわらずである。

日本のテレビは、ことあるごとに疑惑のスケープゴートに対して、事実ではなく疑惑を根拠にして徹底的に糾弾してその人格を蹂躙してきました。例えば、言葉によるセクハラを行ったとされる財務省事務次官に対しては、極悪人のように罵り、辞職に追い込みました。

一方で肉体的な関係を事実上強要したと考えられる芸能事務所社長に対しては、その加害を見て見ぬふりをして「うらやましい人生」を送ることに協力しました。これは、とんでもないチェリー・ピッキングです。

このように人間を自らの都合で差別する日本のテレビは観るのも汚らわしい存在であると考える次第です。

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