―金融政策 「本日、FOMCは政策金利を0.25%ポイント引き上げた。昨年から、金融政策が物価を2%に回帰させるべく、十分に制約的な金融政策姿勢を獲得すべく、5%ポイントの利上げを行った」 「また、我々は保有資産の縮小を続けている」 「今後については、どの程度追加的な金融引き締めが適切か決定する上で、経済指標次第とのアプローチを講じる」 「Fedの金融政策に関わる行動は、米国人のため雇用の最大化と物価安定を促進するという統治目標に基づく。我々は高インフレが購買力を低下させ、特に食料、住宅、交通などの必需品のコスト上昇に対応できない人々にとって大きな苦難をもたらすことを痛感している」 「インフレが2つの統治目標にもたらすリスクに強く注意を払い、2%に戻すことに強くコミットする」 「本日、0.25%の利上げを行った結果、FF金利誘導目標は5.0-5.25%となり、わずか1年足らずで5%の利上げを行った。我々は、住宅や投資など。最も金利の影響を受けやすい分野の需要に現れた、これまでの引き締め効果をみている」 「信用動向の一段の引き締まりを受け、米経済はさらなる向かい風に直面するだろう」 「3月初めに発生した銀行部門での緊張状態により、家計と企業の信用を一段と引き締め、こうした信用の一段の引き締まりは経済活動、雇用、インフレを押し下げるだろう。その程度は、不確実だ」 「これまでの政策引き締めに加え、不確実な向かい風に直面するなかで、将来の金融政策への行動はどのように出来事が進展するかに掛かっている」 「物価を2%に戻すべく、追加の引き締めがどの程度適切となる可能性があるかを判断する際、金融引き締めの累積効果、金融政策が経済活動や物価に影響を与えるラグ、経済・金融情勢を考慮する」 「我々は入手するデータ、並びに経済活動とインフレの見通しが与える意味など全体に基づき、会合毎に政策を決定する」 「我々は、金融政策の引き締めが正当化される場合、行動する用意がある」 ※今後の据え置きを示唆する一方で、インフレ高止まりへのヘッジとして追加利上げの余地を残した。米銀破綻の影響について経済押し下げの影響について言及する程度で、前回とほぼ変わらず、警戒を強化したようにはみられない。その証左として、量的引き締めの継続を強調した。
〇質疑応答
―今後の声明文が据え置きを示すか否か、景気後退について 「3月の声明文で”いく分の引き締めが適切”のほか、”十分引き締め寄りな金融政策の姿勢を実現すべく、適切な可能性があると予想する”との文言を削除した。その上で今回、今後の追加引き締めを決定する上で、物価を2%へ戻す上で、金融引き締めの累積的効果とラグ、また金融政策が経済活動やインフレ、経済と金融の動向に与える影響を考慮していくとした。意義深い変更であり、今後は経済指標毎に金融政策を決定する」 「我々は物価の安定を回復することにコミットしており、あらゆる証左が、我々が長期的にインフレ率を2%に低下させることを実現すると国民が確信していることを物語っている。私たちは、言葉だけでなく、行動によってその信頼を維持することが重要だ」
ー景気後退リスクについて 「私は経済が緩慢なペースで拡大すると見込んでいるため私自身の見解ではないが、スタッフの見通しに基づけば、ゆるやかな景気後退に陥る可能性があり、私自身がその程度であればと望み、失業率の上昇もこれまでと比べて限定的になるだろう」 ※3月FOMCでの「(米銀破綻を受けて、ソフトランディングが可能かとの質問に)道筋はまだ存在し、我々は当然それを探っている」から修正
―利下げの可能性について 「委員会は、インフレがそれほど速く鈍化するとは考えていない・・・時間が掛かるだろうし、もしその予想が概して的中すれば、利下げは適切ではないし、行わないだろう」 「委員会は、インフレ率がそれほど速く鈍化しないと認識し、(2%回復まで)時間が掛かると想定するならば、利下げは適切ではない。市場は急速なインフレ鈍化を見込み利下げを想定しているかもしれないが、それは我々の見通しではない」 ※再三にわたって、利下げ期待をけん制。
―金利据え置きについて 「据え置きの決定はなされなかった」 「(十分に制約的との文言を削除したが、5.0-5.25 %はその領域に達したか否か)それは今後、データなどを通じて協議されていく・・我々は5%もの利上げが許され、1年先インフレ期待を差し引いたとして実質金利は2%と、多くの人々が仮定する中立金利水準を大きく上回る。金融政策は制約的(tight)であり、信用引き締まりなどを含めれば(十分制約的水準に)から遠くない、あるいはそこに到達している可能性がある」 「今回の据え置き決定について、非常に強い支持があった。一部の参加者は据え置きを協議したがその程度だ」
チャート:FF金利のレンジ下限は5月の利上げで、2019年10月以降で初めてCPI(前年同月比)に並ぶ
(作成:My Big Apple NY)
―利上げの可能性について 「(次の利上げへのハードルが上がったか)短い間に相当の(long way)利上げを行ってきた。データをみながら、注意深く精査していく」 「今、我々はインフレ抑制に集中する必要がある」
―SVB破綻について 「SVBの預金流出は、過去と比較できないスピードだった。だからこそ今、規制や監督において何らかの形で反映する必要がある」 「このような速さで(預金流出が進み銀行が破綻するという)進むと予想した者は周りにいない・・・問題解決に向け、バーFRB副議長に主導してもらう」 「(FRBの2人の職員は2月14日、FRB理事会で、証券価格の下落によって銀行が直面する未実現損失のリスクについて、11枚の資料を使ってプレゼンを行い、SVBに注目が集まったとされるが)一般的なプレゼンで、理事全員が出席したと思われる。プレゼンでは金利上昇のリスクが指摘され、SVBについては1ページ割かれ、時価ベースでの損失について指摘されて、預金流出などのリスクは記載されていなかった。プレゼンの重要ポイントは情報共有や現状認識、平行的な精査を行うことであり、米銀が警戒すべき状況にあることを示すものではなかった。FRBが行っていることは、流動性供給措置であり、金融政策と金融安定を支える支援措置は矛盾していない。(質問者がFRBスタッフのプレゼンではSVBの状況が”警戒すべき”と明記してあったと尋ねると)SVBが警戒すべき水準になかったとは言ってない。確かに、規制が必要などとの表現はあった・・我々は対応に努めている」