5月2~3日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、市場予想通りFF誘導金利目標を25bp引き上げ5.0~5.25%に設定した。2022年3月の25bp、同年5月の50bp、同年6~11月の4回連続75bp、同年12月FOMCでの50bp、23年2月と3月の25bpに続き、今回のサイクルで10回目の利上げとなる。

3月10日のシリコンバレー銀行と同12日にのシグネチャー銀行に加え、ファースト・リパブリック・バンクが5月1日に破綻しJ.P.モルガン・チェースへの身売りが決定したが、インフレ抑制の姿勢を崩さず利上げを継続した。

パウエルFRB議長 Board of Governors of the Federal Reserve System SNSより

今回の声明文では、前回に続き米銀破綻とその経済的なインパクトに配慮する姿勢を表明したが、微調整にとどまり懸念を強調せず。何より、今回「いく分の追加的な引き締め(some additional policy firming)が物価を2%へ回帰させるため、十分引き締め寄りな金融政策の姿勢を実現すべく、適切な可能性があると予想する」との文言を削除。代わりに「物価を2%に戻すべく、追加の引き締めがどの程度適切となる可能性があるかを判断する際、金融引き締めの累積効果、金融政策が経済活動や物価に影響を与えるラグ、経済・金融情勢を考慮する」との文言を追加した。

利上げ打ち止めの示唆を与えたとされるが、パウエルFRB議長は、記者会見で①年内の利下げは適切ではない、②銀行破綻を受け信用収縮が景気やインフレを押し下げる可能性がある一方、米銀行システムは健全で強靭、③量的引き締めは継続、④景気後退リスクはあるが、ゆるやかなもの――などの見方を表明した。声明文を始め、詳細は以下の通り。