<金融政策姿勢>

変更なし

今回:「金融政策の適切なスタンスを評価する上で、委員会は経済見通しに係る最新の情報が与える示唆を注視し続けていく。委員会の目標達成を妨げるリスクが表面化した場合、金融政策の姿勢を調整する用意がある。委員会は公共衛生や労働市場、物価から生じる圧力やインフレ見通し、金融動向は国際情勢など、広範囲にわたる情報を考慮に入れて評価していく」

<票決結果> 今回も全会一致で、前回に続いて7回連続となる。FOMC投票権保有者は足元で11名、パウエル議長、バー副議長(銀行監督担当)、ウォラー理事、ボウマン理事、ジェファーソン理事、クック理事、ウィリアムズNY連銀総裁が輪番制の地区連銀総裁の投票メンバーはシカゴ連銀のグールズビー総裁、フィラデルフィア連銀のハーカー総裁、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁、ダラス連銀のローガン総裁の4名。なお、投票メンバーは通常、FRB正副議長3名(足元はブレイナード副議長がNEC委員長に就任するため退任し2人)、理事4名、NY地区連銀総裁の8名が常任、地区連銀総裁は1年間の輪番制で4名となる。

チャート:3月FOMCの経済金利見通し

fomc23marsep2 (作成:My Big Apple NY)

【パウエルFRB議長の記者会見、質疑応答のポイント】

〇冒頭の原稿

―米銀破綻問題 「銀行セクターの動向は3月初め以降、広範にわたり改善、米国の銀行システムは健全で強靭だ」 「我々は、銀行システムの動向を注意深く監視し続けていく」 「バーFRB副議長がシリコンバレー銀行に対するFRBの監督についてのレビューを発表した。レビューの結果は、銀行システムがより強く、より良いものにするために、我々の規則と監督上の慣行に取り組む必要性を強調している。我々は、より力強く強靭な銀行システムを実現すると確信している」

―総括 「金融政策の観点から言えば、我々の焦点は正面から二大目標、つまり米国市民のために雇用の最大化と安定的な物価に取り組むことだ」 「物価なんて言は、FRBの責務だ」 「物価安定なくして、経済は誰のためにも機能しない。特に、物価の安定なくして、全ての人々に恩恵をもたらす強い労働市場の状態を持続的に実現することはできない」

―米経済 「米経済は急速な拡大ペースから大幅に鈍化し、昨年の実質GDP成長率は潜在成長率を下回る0.9%だった」 「今年のQ1成長率も緩慢で、個人消費が回復したものの1.1%程度だ」 「信用動向の一段の引き締まりを受け、米経済はさらなる向かい風に直面するだろう」 「3月初めに発生した銀行部門での緊張状態により、家計と企業の信用を一段と引き締め、こうした信用の一段の引き締まりは経済活動、雇用、インフレを押し下げるだろう。その程度は、不確実だ」

―個人消費 「個人消費の伸びは今期回復したようにみえるが、天候要因が影響した可能性がある」

―住宅市場 「住宅セクターの活動は、高水準にある住宅ローン金利を反映し弱いままだ」

―企業活動、輸出 「金利上昇と生産の伸び鈍化は、企業の固定資産投資の重石となっているようだ」

―労働市場 「労働市場は引き続き非常にひっ迫している。雇用の伸びは過去3カ月間で平均34.5万人増加した」 「失業率は3.5%と低い水準にとどまった」 「それでも、労働市場における需給がより良い均衡点へ回帰していくであろう、いく分の兆候がみてとれる」 「労働参加率は25~54歳を中心に、足元で上昇してきた」 「名目賃金の伸びはいく分の鈍化がみられ、求人数は年初来で減少している」 「しかし、求人件数が高水準にあり、労働需要は労働供給量を大幅に上回る」 「FOMC参加者は、労働の需給がいずれより良い均衡点に達し、賃上げ圧力が緩和すると見込む」

―物価 「物価は目標値の2%を依然として大きく上回っている」 「インフレは2022年半ばから、いく分鈍化したが、インフレ圧力は引き続く根強く物価を2%へ戻す上で長い道のりを残す」 ※インフレ抑制に時間を要すると発言し、インフレ抑制への姿勢を強調。