中小銀行に次ぐ被害者は都市の多様性

それとともに残念なのが、かつてはそれぞれに個性のある繁栄を謳歌していたサンフランシスコやサンノゼやシアトルといった西海岸の都市が、シリコンバレーブームの退潮とともに、一緒くたに衰退の中に放りこまれそうなことです。

平日はほぼ毎日必ず出勤してくるオフィス人口を目当てに多種多様なモノやサービスを提供していた企業群が、オフィス人口の減少とともにさびれていきます。

かつては大勢の人々が毎日出入りしていた超高層オフィスビルも、大きすぎる墓標のように立ち腐れていくのでしょうか。

ケーブルカーで急坂を登り詰めると、なんとそこには海辺がある、地理自体が魔法にかけられたような町、サンフランシスコがシリコンバレーのスタートアップ成り金と同じように没落していくのは、私にはなんとも納得がいきません。

クルマ社会化とはどうにも折り合いが付かない都市文明の滅びを、サンフランシスコが象徴しているということなのかもしれません。

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編集部より:この記事は増田悦佐氏のブログ「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」2023年4月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は「読みたいから書き、書きたいから調べるーー増田悦佐の珍事・奇書探訪」をご覧ください。