こんにちは。
今週月曜日に開示されたバンク・オブ・アメリカの2023年第1四半期決算が予想外の好収益を示したために、早くも「もうアメリカの銀行業界は危機を脱した」といった声も聞かれるようになりました。
たしかに、営業収益、純利益、1株利益すべてにわたって、前年同期比2ケタの増収増益ですから、一見文句のつけようがない決算です。
公表数値は威勢が良かったのですが、その陰で先日来何度か指摘させていただいた含み損が肥大化していることを感じさせる数字も散見される、表を見るか裏を見るかでずいぶん印象の違う決算でした。

Sean Pavone/iStock
まず、そのへんから検証していきましょう。
実際に計上した貸し倒れ損失は、じわじわ確実に増加しているというだけのことです。まだ融資総額の0.5%にも達していません。ただ、貸し倒れ引当金は去年第4四半期よりやや減少させているのに、前年同期比で見るとじつに31倍になっています。
これはやはり、平穏無事な時代の銀行が開示する決算ではありません。臨戦態勢に入った企業の決算です。しかも、どうやら去年の第2四半期(4~6月)には、臨戦態勢に入っていたようです。