〇「利上げ」 Fedの「利上げ」に関する文言は38回登場し、前回の31回を上回った。利上げ開始以降で3番目の高水準となる。38回のうち、12地区連銀別では10地区連銀で取り上げられた半面、これまで指摘していなかったNYが初めて報告した。一方で、ボストンとフィラデルフィアが外れた。22年3月が25bp、5月50bp、6、7、9、10、11月に75bp、12月に50bp、23年2月に25bpの利上げを行った結果、引き続き建設や不動産市場だけでなく、融資を含めた金融サービス、製造業、エネルギー、小売、観光・旅行など幅広い業種で影響を確認した。
また、「支払い遅延」との文言が11回登場し、前回の6回を超え利上げサイクル開始以降で最多だった。12地区銀別で7行(NY、クリーブランド、アトランタ、リッチモンド、シカゴ、セントルイス、サンフランシスコ)と過半数が指摘し、こちらも最多となる。前回の登場回数は9回で、4地区連銀(NY、クリーブランド、リッチモンド、シカゴ)が報告していた。
チャート:金利や利上げに関する文言と支払い遅延の言葉の登場回数は前回から減少も、高止まり傾向続く
(作成:My Big Apple NY)
――以上、3月ベージュブックは全体的に景況報告が上方修正され、景気後退懸念が低下した一方で、利上げによる経済活動の下押しや債務支払いの延滞増加が確認されました。シリコンバレー銀行やシグネチャー銀行などの経営破綻を受け米金融監督局が融資プログラムを通じた預金の全額保証を決定してまもなく、今度はクレディ・スイスのデフォルト懸念が重なり、一向に春の嵐が収まる気配は感じられません。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2023年4月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。