高校生のうちに読んでおきたい哲学書9冊

高校生のうちに読んでおきたい哲学書を9冊紹介します。哲学の知識が必要な本や難しすぎる本は避け、面白くてわかりやすい哲学書、実生活に活かしやすい本を厳選しました。

14歳からの哲学 考えるための教科書

『14歳からの哲学 考えるための教科書』は、14歳・15歳からの考えるための教科書です。「言葉」「自分とは何か」「死」「心」「体」「他人」「家族」「社会」「規則」「理想と現実」「友情と愛情」「恋愛と性」「仕事と生活」「メディアと書物」「人生」などの30テーマを通して、考えることと知ることの大切さと方法を学べます。

哲学に答えはありません。答えがでないことを考え続けるのが哲学です。

情報が溢れ、スマートフォンで簡単に答えが見つかる現代だからこそ、哲学の大切さが見直されています。答えを知ることで物質的な豊かさは手に入るかもしれませんが、それだけでは精神的な豊かさは手に入れられません。

精神が豊かであることだけが人生を豊かにすると本書には書かれています。そのために必要なのが自分の頭で考える訓練であり、本書はそのやり方を教えてくれます。

勉強の哲学 来たるべきバカのために

『勉強の哲学 来たるべきバカのために』は、勉強とは何かということを哲学的に考える本です。本書によると、勉強とは自己破壊であり、勉強をすることでかつての自分を失うことになるといいます。

そんなショッキングな書き出しから始まる本書ですが、勉強を続けることで人は今までの自分や周囲のノリから解放され、新しい自分へと変わっていけるといいます。

日本では常識や体裁が重視され、未だに同調圧力も強いです。そんな社会に息苦しさや疑問を感じているなら、高校生のうちに本書を読んでおきましょう。勉強による自己破壊により、自分にとって大切なもの、心から楽しめるものが見つかるはずです。

国家

『国家』は哲学者プラトンの著書の中で、最も有名といっても過言ではない一冊です。本書では正義とは何かを定義し、個人における正義を明らかにしたうえで、それを国家へと適用していきます。

プラトンの哲学書の多くは彼の師匠であったソクラテスと、当時の有力者との対話を通して進みます。「哲学書は難しい」というイメージがあるかもしれませんが、対話を通して進むプラトン哲学は読みやすく、哲学の知識がなくても理解できるでしょう。

今、社会の在り方は大きく変わりつつあります。社会とは、つまり国家です。本書の読み方は時代や国家の在り方が変わるたびに変わってきました。高校生のうちに本書を読み、社会とどう向き合って生きていくかを考えておきましょう。

パイドロス

『パイドロス』もプラトンの哲学書ですが、短めであること、恋愛や人間関係といったわかりやすいテーマであることから国家よりも読みやすいでしょう。哲学書をはじめて読む高校生にもおすすめです。

哲学者の中には、「西洋哲学はすべてプラトン哲学の脚注である」という人もいます。プラトン哲学は哲学の源流ともいえるため、ほかの哲学書と比べて前提知識が求められません。哲学を深く学ぶうえでも、まずはプラトンを読むことで基礎を押さえられるでしょう。

本書ではソクラテスと、パイドロスという青年が愛や魂の本質について議論します。どんな相手と親密な関係を築くべきか、どう生きれば豊かな精神を育み充実感を得られるのかを、ソクラテスが優しい語り口で教えてくれます。

生の短さについて 他2篇

『生の短さについて 他2篇』も哲学の古典として知られる一冊です。本書は「生は浪費すれば短いが、活用すれば十分に長い」と説きます。哲学書ではありますが、その内容は自己啓発やライフハックに近いです。

本書の教えは現代にも通ずるどころか、現代だからこそ活きる部分も多いです。限られた時間を有効に使うために、人間関係や誘惑・快楽との向き合い方を真摯な姿勢で教えてくれます。

生の短さについて以外にも、欲望に惑わされずに心の平静を手に入れる方法を述べた「心の平静について」、徳と快楽の両方を手に入れ幸せに生きるための「幸福な生について」が収録されています。

「心の平静について」では欲望や悲しみといった心の動き、自分の中の怠惰な部分と向き合うための方法が。「幸福な生について」では人間にとって最も大切なものである徳を高めることで、さまざまな楽しみや喜びが付随してくることがわかるでしょう。

SNSに膨大な時間を取られ、勉強や趣味に時間を使えずイライラしている高校生。学校やアルバイト先での人間関係に疲弊した高校生におすすめの一冊です。

読書について

『読書について』はタイトル通り、読書について深く考えるための哲学書です。本書は一見、読書(特に多読)に対して否定的ですが、著者のショウペンハウエルは稀に見る読書家です。

本書の表紙には、「読書とは他人にものを考えてもらうことである。1日を多読に費やす勤勉な人間はしだいに自分でものを考える力を失ってゆく。」とあります。本書は単なる読書批判ではなく、「何も考えず、ただインプットのためだけに本を読むこと」を批判しているのです。

本に書かれていることを正しく理解し、自分の頭で考えることの大切さを本書は教えてくれます。他者の意見を受け入れながら自分の頭で考え、思考を深めていくことは、現代において欠かせない能力です。

その能力を高めていくためにも、高校生のうちに読んでおきたい一冊です。

「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 日本縮約版

『「死」とは何か イェール大学で23年連続の人気講義 日本縮約版』は、死についてとことん考える哲学書です。

タイトルの通り本書はイェール大学で23年連続する人気講義を本に落とし込んだものです。余命宣告を受け、この講義を受けることに文字通り命をかけた学生もいます。

本書では「魂はなく、輪廻転生や死後の世界もない」「死んだら一巻の終わりである」という立場から、死について考えます。死んだら一巻の終わりなのになぜ生きるのか、なぜ死を恐れるのかといった疑問に、自分なりの答えが見つかるかもしれません。

なお、本書は原書の縮約版です。全体の半分ほどのページを割いて書かれた、「魂がない理由」「なぜ、死んだら一巻の終わりなのか」の部分が省かれています。

これらの理屈や形而上学に興味のある方は完全翻訳版を。生きるうえでの迷いに答えが出したい方や、自らの死生観が変わってしまうのが不安な方は縮約版を読むといいでしょう。

生き方

『生き方』は日本発、世界16ヵ国で翻訳された哲学書です。日本人の著者が知識と経験に基づき、実践を意識した人生哲学であるため、哲学書を読んだことがなくてもわかりやすいでしょう。

本書では大きな夢を叶えるために、自分らしい人生を歩むために何が大切なのかを教えてくれます。「生まれてはじめて本を読んで涙を流した」「もう一度中学生に戻り、新しい人生を生きてみたいと切に思った」と、多くの人の心を動かしてきた一冊です。

本書で身につくのは「足るを知る」という考え方です。今あるものに満足すること、目標達成よりも目標を達成するために努力することが大切だということを、本書は教えてくれます。

勉強や部活で頑張ることに疲れてしまった高校生、これからの人生に大きな野望を持った高校生に読んでもらいたい本です。

心。

『心。』も、先述の『生き方』と同じ著者による人生哲学の本です。著者は第一線を歩き続けた稀代の経営者でありながら、心の在り方や豊かな人生について考え続けてきた人物です。

「仕事に夢中になり家庭を顧みない」「数字ばかりを見てその会社で働く人たちが見えていない」など、経営者に対してマイナスイメージを持つ高校生も多いでしょう。実際、利益偏重に陥った現代社会では、このような経営者も少なくありません。

卒業後の進路や将来就くべき仕事に迷いがある高校生、いつか自分でビジネスを起こしてみたいと思っている高校生には、何度も読み返したいバイブルとなるでしょう。