高校生のうちに読んでおきたい教養の本8冊

高校生のうちに読んでおきたい教養の本を8冊紹介します。生き方や考え方を変えてくれるような本、社会の在り方や変化について深く学べる本など、面白くて読み応えのある本を厳選しました。

思考の整理学

『思考の整理学』は無意識に行っている「思考」に焦点をあて、それを整理・改善するための本です。「2022年 全国の大学生に1番読まれた本(全国大学生協調べ)」であり、東大生や京大生から根強く支持されています。

もちろん、本書は高校生でも十分に読めます。本書には思考の整理についてたくさんのコラムが載っていますが、一つひとつが短く、わかりやすく書かれているからです。本をあまり読んだことがない人でも、スラスラと読み切ってしまうでしょう。

「もっと若いときに読んでおけばよかった…」という感想をもつ人も多いようです。早い段階で本書を読み、思考を整理する力を高めておくことで、進学や就職もスムーズに進むでしょう。

銃・病原菌・鉄

『銃・病原菌・鉄』は人類がどのように生まれ、文明を発展させてきたのかを、歴史的なエビデンスを使って推測する本です。知的好奇心を刺激し、自分で考えたり調べたりしようという意欲を高めてくれる本として、たくさんの人から支持されています。

本書では歴史的なエビデンスが豊富に載っていますが、それはあくまでも考えるための材料として扱われます。歴史について理解を深める本というよりは、歴史という材料を使って考える力、わからないことと向き合う力を高める本です。

さまざまな作業が機械化されていくこれからの時代において、人間に残される仕事は「考えること」になるでしょう。新しい時代を生き抜く力を身につけるために、高校生のうちに読んでおきたい一冊です。

教養としての認知科学

『教養としての認知科学』はタイトルの通り、認知科学を教養として学ぶための本です。認知科学とは人間をはじめとする生物の認知活動を解明するための学問で、認知活動とは外部から情報を受け取りそれを自分なりに解釈することです。

つまり、認知科学を知ることは自分が何かものを考えるときの過程をなぞり、自分の考え方について見つめなおすことにつながります。

気軽な読書として読み始めると挫折するかもしれない程度の難しさの本ですが、その分、専門書に近い読み応えのある一冊です。教養を高めるためにも、難しい本にじっくり取り組む練習をするためにも、高校生のうちに読んでおきたい本といえます。

漫画 君たちはどう生きるか

『漫画 君たちはどう生きるか』は、出版80年を超えて読み継がれる名著「君たちはどう生きるか」の内容を漫画でわかりやすく伝えてくれる本です。人間としてあるべき姿とは何か、どうすればあるべき姿に辿り着けるのかを、ストーリー仕立てで教えてくれます。

本書は好奇心旺盛な少年「コペル君」と、彼を見守る教養ある「おじさん」のやり取りを通して進んでいきます。おじさんからコペル君へのアドバイスが詰まった「ノート」の部分はあえて漫画化せず、テキストで掲載されています。

漫画とテキストを織り交ぜた情報量はちょうど良く、読み進めやすく理解しやすい一冊として人気です。

空想科学読本 第二版

『空想科学読本 第二版』は、特撮番組やアニメなどの身近な作品を通して科学を学ぶ本です。

「ウルトラマンがマッハで飛行すると衝撃波で身体が裂けたり、大地震が起きたりしてしまう」「宇宙船間ヤマトはどうやって重力を作り出しているのか」など、エンタメ作品に現実の物理法則を当てはめることで、楽しみながら科学を学べます。

シリーズ化されており、たくさんの本が出ているため、自分のお気に入りの作品について扱った本を選ぶのがおすすめです。

人新世の「資本論」

『人新世の「資本論」』は資本主義の限界について解説し、それに終止符を打つための提案をする本です。人新世とは、人類の経済活動が地球を破壊することで訪れた、環境危機の時代のことです。

本書ではSDGsや温暖化対策などを痛烈に批判しながら、資本主義の問題点や限界を明るみに出していきます。先進国はこれまで自分たちの目の届かない遠くの途上国に豊かな生活の代償を押し付けてきましたが、グローバル化によりそれも限界を迎え、今度は未来の世代に代償を押し付けようとしていると著者は語ります。

このような耳に痛くなる現実と正面から向き合い、解決策として新しい社会の在り方を提案します。先進国としての豊かさを享受しながらも、未来の世界でその代償を受け入れることになる高校生世代こそ、読んでおきたい一冊です。

国家の品格

『国家の品格』は、「日本は世界で唯一の情緒と形の文明である」という考え方を軸に、日本としての国家の品格とは何かを見つめなおす本です。行き過ぎたアメリカナイズを脱し、日本らしい社会と在り方を取り戻そうと、本書は説きます。

武士道精神や自然を愛する心、徳など、現代社会で失われつつあるものの大切さを伝えているのが本書です。本書を読みこれらの心を取り戻す(あるいは手に入れる)ことは、合理性や論理ばかりが重視される現代において、豊かな気持ちで生きることにもつながるでしょう。

ちなみに、著者ももともとはアメリカ流を押し通してきた人物です。そんな著者だからこそ、日本とアメリカの違いを深く掘り下げられるのかもしれません。

コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった

『コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった』はタイトルの通り、コンテナの歴史とそれが世界にどんな影響を与えたのかについて、徹底的に掘り下げた本です。コンテナは世界経済とグローバルな貿易を飛躍させた、一大イノベーションだったのです。

本書はビル・ゲイツ氏やひろゆき氏も推薦しています。ビル・ゲイツ氏は「この夏私が読んだ最高に面白い本」だと、ひろゆき氏は「人生を変えた本・ベスト3」と、ともに太鼓判を押しています。

イノベーション(特に破壊的イノベーション)とは何かを、面白おかしく、説得力をもって教えてくれる一冊です。