賃貸の場合の家賃平均額は5万円台

総務省統計局「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計」によると、借家の1ヵ月当たり家賃は平均5万5,675円で、うちUR賃貸住宅は平均6万9,897円、木造の民営借家は平均5万2,062円、非木造の民営借家は平均6万4,041円となっている。

ただし、これは年齢別のデータではなく、住宅のある場所や間取りなども考慮されていないため、実際は物件によってかなり差があるはずだ。

定年退職後のシニア以降世代は、年金をもらいながら働いていたとしても、家賃はなるべく減らしたいはずだ。そのため、これらの平均額を大きく超える家賃を払っているシニア以降世代の世帯は、少数派と考えていいだろう。

持ち家がないシニア以降世代にありがたい公営住宅

在職中に持ち家を購入しなかった人が定年退職後に購入するのは難しいので、多くは賃貸物件を借りることになる。しかし、民間の賃貸物件にシニア以降世代が新規で入居するのは難しいため、公営住宅やUR賃貸住宅を選択する人が多くなる。

まず、公営住宅について説明しよう。公営住宅とは収入が少なく住宅に困っている人に対し、安い家賃で賃貸することを目的に、都道府県や市区町村が管理する住宅のこと。入居するためには、入居募集期間内に申し込む必要がある。

入居条件は「収入が少なく住宅に困っていること」であり、相場よりも安い家賃で住むことができる。入居後に収入が著しく減り、家賃の支払いが困難になった場合は、家賃の減免が認められることもある。

一方、一定以上の収入のある入居者は相場に近い家賃となるだけでなく、退去の努力を求められることもある。

公営住宅の入居者の70%以上は、世帯収入が月10万4,000円以下。この範囲の世帯収入の入居者は、家賃算定基礎額3万4,400円を基準とし、それに立地や築年数、住宅の利便性などを考慮した補正額を加えたものが家賃となる。

URと「サ高住」も選択肢に

UR賃貸住宅は保証人が不要なので、シニア以降世代にとって契約のハードルが低い物件といえる。ただし、通常の物件の家賃は安いとはいえず、平均月収額が基準月収額以上でなければ入居できない。2人以上世帯で申し込む場合、家賃が月8万2,500円未満の物件であれば、その家賃の4倍以上の収入が必要だ。

一方で、URはシルバー世代の暮らしやすさに配慮したバリアフリー住宅(高齢者向け優良賃貸住宅)も提供しており、国とURがその家賃の一部を負担する仕組みがある。さらに、この住宅では世帯の所得月額合計が15万8,000円以下の場合に家賃が軽減される。

URでは高齢者・障がい者向けの設備を備えた賃貸住宅「高齢者等向け特別設備改善住宅」や、外出を促す環境を備えた賃貸住宅「健康寿命サポート住宅」なども提供している。

公営住宅やUR以外では、「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)も選択肢になる。これは、ケアの専門家の常駐、安否確認サービス、生活相談サービスなどを提供し、シルバー世代が安心して暮らせる環境を整えた住宅だ。

国土交通省の資料では、サ高住の家賃と共益費、サービス費(生活相談・見守り)の合計費用の平均は月額約11万円となっている。

シニア以降世代の物件選びでは暮らしやすさも大切

自分や家族の寿命がわからない以上、家計の固定費として毎月出ていく家賃はなるべく安いほうがよい。しかし、シニア以降世代になると物件の住みやすさはかなり重要な要素であるため、“安かろう悪かろう”は避けたい。

持ち家のない人は民間の賃貸物件の他、公営住宅、UR、サ高住なども選択肢に入れ、家賃と暮らしやすさのバランスを検討してほしい。

文・モリソウイチロウ(ライター)
「ZUU online」をはじめ、さまざまな金融・経済専門サイトに寄稿。特にクレジットカード分野では専門サイトでの執筆経験もあり。雑誌、書籍、テレビ、ラジオ、企業広報サイトなどに編集・ライターとして関わってきた経験を持つ。

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